県立博物館・美術館主任学芸員の平川信幸さんが2月に発表した「琉球国王の肖像画『御後絵』とその展開」が、日本・東洋美術史に関する優れた研究論文や図書を表彰する「第36回國華賞」(主催・朝日新聞社、國華社)を受賞した。主催者によると、沖縄・琉球がテーマの作品や、沖縄の研究者が受賞するのは、いずれも初めてだという。贈呈式は24日に東京都内で行われる。
同書は、琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」を、日本の染織家で沖縄文化史の研究者、鎌倉芳太郎撮影の写真などを駆使して学術的に考察した研究書。國華社の担当者は「御後絵を中心に関連する作品群や資料を分析、琉球肖像画史の特徴と独自性を明らかにしたことが選考委員から評価された」と説明した。
今年3月には沖縄戦で流出した御後絵が約80年ぶりに米国から返還されており、平川さんは「こうしたタイミングと受賞が重なったのは純粋にうれしい。この賞をきっかけに、琉球絵画がもっと知られるようになれば」と喜びを語った。
「國華賞」は過去1年間に刊行された書籍、雑誌・紀要などに掲載された論文、展覧会図録が選考対象となる。
(当銘千絵)