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サンゴ礁「石西礁湖」84%が白化 専門家「ただ事ではない」 地球温暖化による海水温上昇が影響か 沖縄


サンゴ礁「石西礁湖」84%が白化 専門家「ただ事ではない」 地球温暖化による海水温上昇が影響か 沖縄 調査で最も白化率が高かった黒島北側の海域=9月、竹富町(環境省提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 環境省は9日、石垣島と西表島の間に広がるサンゴ礁「石西礁湖」で9月に実施した調査で、平均白化率が84%だったと発表した。専門家は「大白化だ。地球温暖化とリンクしており、行政は気象災害として取り組んでいく必要がある」と指摘している。

 調査は9月2~7日に31地点で、環境省が琉球大学理学部の中村崇准教授らと共に実施した。 前年同月には2・6%だった平均白化率は84%で、特に黒島北側の海域で白化率が高かった。

 サンゴの状況を4段階に分けた内訳は、健全(群体全体が白化していない状態)16%▽薄色(一部白化・一部死亡・全体的に色が薄い)59・4%▽白化(完全に白化)13・7%▽死亡(全体が白化により死亡)10・9%だった。

 平均白化率は、大規模白化のあった2016年の97・2%、22年の92・8%を下回った。しかし、生きているサンゴが海底を覆う割合を示す「被度」が17・4%で、16年9月の20%、22年9月の21・6%より減少している。環境省は「ベースとなるサンゴ被度が減少しており、生態系に甚大な影響を及ぼす可能性がある」としている。

サンゴの白化が進む西表島と小浜島に挟まれた海域=9月、竹富町(環境省提供)

 環境省は大きな要因として、地球温暖化による海水温上昇を挙げる。石西礁湖では今年、日平均の水温が30度以上の日が9月24日までに87日あった。16年、22年の同時期の日数(68日、61日)を上回っている。

 日本サンゴ礁学会の中野義勝会長は「8割を超える白化率はただ事ではない。大白化だ」と指摘。その上で「地球温暖化とリンクしていて、好転することは難しい。観光業などへの経済的な影響も出てくる。行政は『気象災害』として取り組んでいく必要がある」と指摘した。

 (南彰)