アジア太平洋戦争末期の沖縄戦や、日本統治下だった台湾で旧制中学・師範から動員された元学徒らも数え97歳を迎え、家族や親族、同窓生らによるカジマヤー祝いが10月、相次いであった。亡き学友を思い、体験を語り続けた取り組みをたたえられ、多くの人に祝福を受けていた。
県立第一中学校(一中・現在の首里高校)から沖縄戦の前年の1944年、台湾に疎開し、高雄第一中学校から学徒隊として動員された体験を持つ宮城政三郎さん(96)のカジマヤーは14日、那覇市内で行われた。戦後、台湾から引き揚げた宮城さんは、沖縄戦当時の一中の在籍生徒らでつくる「一中二〇会」や、沖縄戦に動員された県内21の旧制中学・師範の元学徒らでつくる「元全学徒の会」の活動に尽力してきた。
今年6月には高雄第一中学校の後身にあたる高雄の高校から、その活動が評価され名誉卒業証書も贈られた。5月下旬に脳梗塞で倒れたものの、現在は回復して元気を取り戻している。
三男の政信さん(68)はスライドでその歩みを紹介。倒れる前に収録した映像を見せ、台湾でも多くの学友が犠牲になったこと、「平和な世に生きたかった亡き学友の無念を忘れてはならない」という政三郎さんの体験や思いを共有した。「『117歳まで頑張る』と言っており、これからも子ども一同支援していきたい」と話すと、政三郎さんはうれしそうにうなずいていた。
沖縄師範学校女子部から沖縄戦に動員された、元ひめゆり学徒の島袋淑子さん(96)は16日、ひめゆり同窓生らでつくるコーラスメンバーに祝福された。同じ本部町出身で幼なじみの与儀毬子さん(94)が花束を贈呈。教員時代の同僚の金城美恵さん(92)が「力強さを先輩から学びました。120歳まで生きてください」とお祝いの言葉を述べた。
島袋さんは沖縄戦で大勢の同級生らを亡くし、「二度と戦争を起こしてはならない」と体験を語り継いできた。2018年に全ての語り部活動から引退し、同窓生らとコーラスを楽しむ日々を送る。現在はマスコミの取材を受けていないもの、花束を贈られ、「戦争で亡くなったお友達にごめんねと言いながら戦争を起こさないと誓いを立てて生きてきて、本当に生きてきて良かった」と涙を浮かべ、感謝を語った。
(中村万里子)