米大統領選で共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領を破り、返り咲きを果たした。米国在住の県出身者や県系人からは、物価高などに対する不満が選挙結果につながったとする考えや、一層の政治的分断や人種差別の助長に不安や懸念の声が上がった。
ハワイ州に住む県系人の60代男性は、トランプ氏について「白人至上主義が政策の根底にあるようで不安だ」と吐露した。「常に民主党優勢のハワイでは自然災害に対する連邦政府の援助を受けられなくなるかもしれない」と語った。
テキサス州に住むサイモン・ゆみさん(55)は、民主党支持者が多いカリフォルニア州から共和党支持者の多いテキサス州に引っ越した。「税金はテキサスの方が安く、学校施設など州がお金をかけている。税金の使い方は共和党の方が上手」と経済政策を評価する。一方、コロナ禍にトランプ氏が「中国ウイルス」と発言したことで、アジア人として差別を受けた経験を振り返り「あの時のような状況になるのではと考えると、トランプ氏には投票できなかった」と語った。
テキサス州で約10年暮らす女性(50)はトランプ氏を支持しないが「民主党政権は物価高への決定的な施策を打ってこなかったし、ハリス氏も具体策を示せなかった」と複雑な心境を語る。物価高の中で「共和党の経済施策を支持する人が一定層はいるのでは」と指摘。移民政策でも「民主党政権は移民に寛容だが受け入れ後の予算をどう確保するかなどが見通せない」と話した。
ニューヨークに約60年暮らす比嘉良治さん(86)はトランプ氏の当選に「知的で優秀な女性より、わんぱくでコーチの言うことなら何でも聞いて突進する、向こう見ずのフットボールに興ずる息子が好きなんだと思う、現在のアメリカ人は」とたとえた。
(比嘉璃子、玉城凪姫、高江洲洋子、座波幸代)