米軍基地の集中する沖縄から見れば、今回の米大統領選は沖縄と深いつながりがある。だが、ワシントンから見ればその他の地域の一つでしかない。トランプ氏の頭の中に沖縄は入っていないだろう。予測不能な動きをするトランプ大統領の誕生で、世界が不安定化する可能性がある。沖縄の米軍基地も、その「不安定」の中に捉えられていく。
トランプ氏は従来の日米同盟の関係としてよりも、中国との関係の中で、沖縄の米軍基地を見ていくだろう。トランプ氏にとって中国の存在は大きい。米中の関わりによっては、米軍基地が中国との取引の材料に使われる可能性もあり、沖縄の米軍基地にも変化が訪れるかもしれない。
実利を重要視するトランプ氏は、1期目で軍事的な政策に消極的だった。対中国で見ても、経済的な視点で中国と対決した。2期目でも中国とはある程度張り合いながらも、共存することに落ち着くのではないか。
一方、日本政府は米軍基地を日本にとどめたいと考えている。米軍がより日本に居やすいよう、駐留経費の増加や武器の購入など、トランプ氏が望むことを先取りするのではないか。今ではトーンダウンしたが、石破茂首相が主張した日米地位協定改定も、トランプ政権誕生でますます言わなくなるだろう。アメリカの歓心を買うことにまい進するのでないか。
(国際政治学)