＜ひと＞小さなこと積み上げる　沖縄弁護士会次期会長に決まった野崎聖子さん

　故郷の宮古島の言葉で「ほっとする」という意味の、「うむやす」の精神で依頼人や物事に向き合ってきた。企業法務などを得意とする法律家は、「大きなことはできないが、目の前の小さなことを積み上げる」と語り、一つ一つ丁寧に取り組んでいく決意だ。

　高校卒業までは、宮古島で週末にサトウキビの農作業を手伝う少女時代を過ごした。弁護士の道に進む大きな動機はなかった。大学で就職活動に気が乗らず、法曹を目指す友人に影響された。「世間知らずだからこそ、司法試験を目指してしまった」。勉学に励まず卒業直前、同郷の先生に「君にはがっかりした」と言われた。一念発起して勉強と向き合い、4度目の挑戦で合格をつかんだ。

　浪人時代、金融関連調査のアルバイトが楽しく、企業法務の道へ。東京の大手法律事務所へ入所すると、身を粉にして働いた。長女の出産を経て戻った沖縄では身近な民事や家事に携わり、「血が通っている」と感じるようになった。

　子育てで苦労もした。長女は忙しい弁護士の仕事を嫌い、小1で学校に行き渋った。所属事務所の協力も得て、できる限り長女に寄り添うと、徐々に理解を示してくれた。仕事とプライベートに悩む弁護士も多く、「男女とも楽に自分の生き方を選べる環境にすることが大事」とかみしめる。

　自身を「調整型」と評し、夫からは「共感力が強い」とも言われる。趣味は草むしりで「根っこが抜けると楽しい」と笑う。高校時代から支え合ってきた公認会計士・税理士の友利健太さん（50）との間に娘2人。49歳。