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【深掘り】米軍幹部が「普天間維持」に言及で波紋 辺野古移設は「機能低下」認める 新基地完成「早くて2037年」発言


【深掘り】米軍幹部が「普天間維持」に言及で波紋 辺野古移設は「機能低下」認める 新基地完成「早くて2037年」発言 米軍普天間飛行場で並ぶオスプレイ=7日午後、宜野湾市の同飛行場(在沖米軍が催した四軍合同メディアワークショップで撮影)
この記事を書いた人 琉球新報社

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画について、在沖米軍幹部が報道機関向けワークショップで「完成は早くて2037年」とした発言が注目を集めている。新基地完成後も普天間を維持したいかを問われ、自身に決定権はないとしつつ「答えはイエス」だとも話し、新基地が抱える軍事的欠点に米軍幹部自ら懸念を示した形だ。政府は火消しに躍起だが、沖縄県関係者は「辺野古新基地が代替にはなり得ないという証左だ」と語り、普天間の固定化に対する懸念を深めている。

移設の「ネガティブポイント」を列挙

 在沖米軍幹部が指摘した普天間飛行場の軍事的ポイントは①滑走路が2800メートル②西側の高台に位置する-の2点。

 滑走路が長く、ヘリから大型の固定翼までさまざまな航空機の運用ができる。基地が西側の高台にあることで、中国と向き合う「基地の北、西、南側に遮るものがなく、レーダーでクリアに見える」と利点を挙げた。

 翻って辺野古新基地は滑走路が1800メートルで、東海岸の埋め立て地。普天間とは滑走路の規模や位置が全く異なる。

 辺野古移設で機能低下は否めないとし「辺野古はすぐそばに山があり(レーダーで)クリアに見ることができない」などとし「ネガティブポイント(難点)」と指摘した。

 「(普天間返還が日米で合意された1996年)当時は、今と全然違う状況だった」。幹部は移設先の滑走路案の変遷を図で示し、当初の普天間のような1本からV字、さらには「2030年?」と記し、ヘリポートのような丸くなった形状の図も示した。「具体的なプランを持っているわけではない」としつつ、「政治的、環境的な面を踏まえると、ヘリポートみたいになってしまうことも想定される」として運用上の懸念を示した。

普天間「継続使用」が米軍の”本音”

 防衛省幹部は、米軍幹部の発言に対し「米軍再編全体で抑止力維持を考えて日米で協議を重ねて計画を決めた。今さら何を言っているのか」と不快感を示す。新基地建設が完了した後も米軍が普天間飛行場も使い続ける可能性は「ない」と断言した。

 だが、2013年の日米合意で定められた普天間返還に必要な条件8項目には、米国政府による代替施設の飛行場認定なども含まれる。日本側の取り組みだけで整わない条件が含まれているのが実態だ。

 日米交渉の歴史で、日本側の希望が米側の都合に押し返されてきた例は数えきれない。現在の日米地位協定につながる行政協定の成立過程でも日本政府は米軍の移動を制限しようとしたが実現できなかった。直近でも、嘉手納基地内の防錆整備格納庫の移設計画を巡り、当時の防衛、外務の両大臣が交渉に乗り出たが、計画見直しには至らなかった。

 県関係者は「まさに(米軍の)本音だろう。辺野古は代替になり得ず、辺野古が完成した場合も普天間を使い続けると布石を打っているようにも見える」と強い警戒感を示した。

 代執行訴訟などで県を押さえ込んででも新基地建設を進めようとする国に対し「普天間固定化への不安も広がる。住民にきちんと説明すべきだ」と語った。 (知念征尚、明真南斗)

どんな発言だった?

辺野古の新基地「早くて2037年」「移設終わるまで普天間維持」米軍関係者が認識示す メディアワークショップで 沖縄

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、米軍関係者は7日、記者団の取材に対し、新基地の完成が「早くて2037年になる」と述べ、移設が終わる …