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石垣島の自衛隊取得予定地 八重山農林高校の演習林に隣接 生徒や牛への影響に懸念の声


石垣島の自衛隊取得予定地 八重山農林高校の演習林に隣接 生徒や牛への影響に懸念の声 八重山農林高校の演習林入り口。付近は防衛省が用地買収を予定している=13日、石垣市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 防衛省が陸上自衛隊石垣駐屯地の施設拡大に向け西側の用地取得を計画している件で、取得予定地の一部が沖縄県立八重山農林高校の演習林に隣接することが13日、分かった。

 現状も駐屯地施設と演習林は一部隣接しているが、予定地取得となれば隣接地が拡大し、牛の放牧地にも近くなる。予定地が自衛隊の訓練施設として使用される計画があるため、学校関係者からは「生徒や牛に影響が出ないか心配だ」と教育環境などへの悪影響を懸念する声がある。

 演習林の地形に詳しい学校関係者によると、現在隣接している箇所は演習林の山林で、普段は生徒が立ち入ることは少なく、学習に影響は出ていないという。だが、今回の取得予定地は牛の放牧地に近いため山林より生徒の出入りが増える場所だという。

 防衛省は予定地取得後の訓練内容を明らかにしていないが、米軍との共同訓練も想定されるとしている。学校関係者は「訓練で牛が落ち着かず逃げ出さないか」「生徒も怖いのではないか」と訓練施設と学習の場である演習林が隣接することに戸惑った。建設工事や訓練による「騒音問題」の発生も心配した。

 防衛省は用地買収を2024年度から開始する見通し。取得面積などを明かしていないが「民有地を中心に考えている」と説明している。県教育委員会には13日現在、防衛省側から買収などに関する連絡はないという。

 19年には石垣市区選出の次呂久成崇県議が陸自配備予定地に八重山農林高の演習林が近接していることなどを調査するよう県に求めていた。

(照屋大哲、明真南斗、嘉数陽)