米軍のPCB廃棄物の肩代わりは、2021年に日本政府が9千万円以上かけて処理した有機フッ素化合物(PFAS)とまったく同じ状況だ。そもそも汚染者負担の原則に従い、基地内は米軍の責任で浄化すべきもので、全世界共通のルールである。なぜそれを崩し、国民が負担を背負わされるようなことを政府自らが行うのか。大変おかしい。
米国が自国でのPCB処理を決めていたにもかかわらず、日本が処理していることを鑑みると、PFAS問題もあり、米軍基地から派生する環境問題は後退している。
また米国が自国処理を決めていた時点では、それなりの管理姿勢が取られていたはずだ。日本の対応は米軍の管理のルーズさを助長することにもつながっているだろう。
PCBにしてもPFASにしても立ち入り調査が実施できていない。PCBに関しては、処理期限のリミットもある。国の処理施設閉鎖後に返還地から見つかるという話も大いにありえる。「総量が分からない」ではすまない。政府は真剣に米国と向き合うべきだ。
(環境学)