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在日米軍のPCB廃棄物、日本政府が4億円余かけ463トン処理 03~22年度 米国での処理方針も続く肩代わり


在日米軍のPCB廃棄物、日本政府が4億円余かけ463トン処理 03~22年度 米国での処理方針も続く肩代わり 沖縄防衛局が米軍から引き取ったPCB廃棄物の一部(県への情報開示請求で本紙が入手した資料より)
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 在日米軍が保有する有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物を巡り、2003~22年度の20年間で、確認できるだけでも全国13施設で約4億4700万円をかけて日本政府が処理していたことが、本紙が入手した防衛省の資料で分かった。総量は約463トンで、そのうち8割に当たる367トンが在沖米軍施設から搬出されていた。米国防総省が02年に在日米軍が管理するPCB含有機器すべてを米本国で処理する方針を決めていたにもかかわらず、日本政府が肩代わりする状況が続いている。


 資料によると、県内では旧恩納通信所で104トン(2億6千万円)、旧キャンプ瑞慶覧で11トン(1億1900万円)、嘉手納基地で230トン(旧嘉手納基地も含む、3400万円)など5施設から引き取っていた。そのほか県外では長崎県の佐世保基地や山口県の岩国基地などから搬出されている。

 在日米軍は02年時点で3118トンのPCB含有機器を保管しており、翌年の03年に22.4トンを米本国に搬出している。一方、日本側が処理した463トン分も除いた、残りの約2630トンの行方は分かっていない。

 在日米軍司令部(東京)は本紙の取材に対し「防衛省や環境省とさまざまな問題で連携している」と述べるにとどめ、総量については明らかにしなかった。防衛省は「現在の在日米軍施設・区域内のPCB含有物質の保有量については承知していない」としている。

 在日米軍の保有総量が不明な中、沖縄や九州の高濃度PCB廃棄物の受け入れ先となっている中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)北九州PCB処理事業所は、23年度中の閉鎖が決まっている。国内すべての同処理施設も25年度末での閉鎖を予定している。

(新垣若菜)