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代執行訴訟で沖縄県敗訴 高裁、25日までの承認を県に命令 県は承認しない公算


代執行訴訟で沖縄県敗訴 高裁、25日までの承認を県に命令 県は承認しない公算 福岡高裁那覇支部の判決を受け、大勢の報道陣に向かって裁判所前で「不当判決」と掲げる市民=20日午後2時11分、那覇市樋川(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事に向けた設計変更申請の承認を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー知事に代わって承認するために提起した代執行訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は20日、国の請求通り県に承認するよう命じた。

 法定受託事務の代執行の判決は史上初。大浦湾の埋め立て工事は重大局面を迎えた。防衛省関係者によると、本格的な着工は年明け以降になるという。複数の県関係者によると、知事は期限内に承認しない公算が大きい。

 判決は県に対し、判決文の送達を受けた翌日から、休日を除く3日以内に承認するよう命令。県は20日に判決文を受け取ったため、25日が承認の期限となる。県が承認しない場合、国が承認を代執行し、大浦湾側の工事が着手されることになる。県は27日までに上告できるが、最高裁で逆転勝訴しない限り工事は止まらない。

 三浦裁判長は判決理由で、県が承認しないことは地方自治法で定められた代執行の3要件に該当すると判示した。国が県に承認するよう求めた是正の指示を巡る訴訟の最高裁判決(9月4日)で、県の不承認は公有水面埋立法の各規定に違反すると結論づけたと指摘。判決確定後も県が承認しないことは「地方自治法の定める諸制度を踏みにじるもので、憲法が基本原理とする法の支配や法治主義の理念を著しく損なうものだ」と批判した。承認しないことの公益性は「社会公共の利益を甚だしく害するものと言わざるを得ない」と強調した。

 一方、歴史的経緯などを背景に埋め立て事業に反対する県民の心情は「十分に理解できる」と付言。国に「県民の心情に寄り添った政策実現が求められる」と指摘し、一連の問題は対話を重ねることで「抜本的解決の図られることが強く望まれている」と述べた。

 判決を受け、新基地建設に反対する県民らは那覇市内で「不当判決」などと抗議の声を上げた。

 設計変更は、大浦湾で見つかった軟弱地盤の改良工事のため、沖縄防衛局が2020年4月、県に申請した。県は21年11月、軟弱地盤の調査などが不十分だとして不承認とした。

 国交相は22年4月、不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正の指示を出した。県が国交相の関与取り消しを求めた訴訟は、最高裁で9月までに県敗訴が確定した。それでも県は承認しなかったため、国交相が10月5日に代執行訴訟を提起した。

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