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【記者解説】防衛インフラ予算、残る疑念 2024年度沖縄関係予算案


【記者解説】防衛インフラ予算、残る疑念 2024年度沖縄関係予算案
この記事を書いた人 Avatar photo 安里 洋輔

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 2024年度の沖縄関係予算は、前年度から1億円減の2678億円となった。概算要求時点では2920億円を求めていただけに増額への期待もあったが、23年度補正予算で329億円を計上したことが影響したとみられる。

 一方、減額が続いていた「沖縄振興一括交付金」は10年ぶりに増額された。一括交付金は、補正予算でハード交付金を39億円計上しており、政府関係者も「財務当局の厳しい要求をはねつけ、必要額を確保できた」と一定評価する。

 概算要求の段階で、内閣府が金額を示さない「事項要求」とし、注目されていた防衛力強化のためのインフラ整備の枠組みでの予算計上は見送られた。県は来年度での予算措置要望を留保したが、予算措置に向けた国への要請を実施している与那国町や石垣市など、整備に積極的な自治体も少なくなく、年度内に予算編成に向けた具体的な動きが出てくる可能性もある。

 ただ、これらのインフラ整備は、政府が進める沖縄を含めた南西諸島防衛強化の流れに沿う「軍民両用」を前提としている。防衛力強化と引き換えにした振興策が、「沖縄の自立的発展」をうたう沖縄振興の趣旨に沿うものか。疑念は拭えない。
  (安里洋輔)