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【深掘り】沖縄県、辺野古工事の「監督権」を強調 事前協議に応じぬ国をけん制


【深掘り】沖縄県、辺野古工事の「監督権」を強調 事前協議に応じぬ国をけん制 辺野古新基地で、砂ぼこりを上げながら台船に搬入される石材=11日、名護市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、県は23日、沖縄防衛局が10日に工事に着手した大浦湾側の「海上ヤード」についても事前協議の対象だと判断した。協議が調うまでの間は工事の中止を求めることで、代執行後は何の制約もなく工事を進めようとする国をけん制する狙いがある。だが、国は海上ヤードは事前協議の対象外との姿勢を崩しておらず、県は工事に関する権限を適切に行使していく考えだ。

 県が今回、海上ヤードについて事前協議の対象と判断したのは、2013年の埋め立て承認時に設けられた留意事項が根拠。工事の実施設計や環境保全対策について、事前に県と協議を行うことを規定している。

 国側は10日の工事着手段階から海上ヤードは事前協議の対象外であるとしていた。その理由として、埋め立て承認申請書の中核となる「設計概要」に記載しておらず、基本的に撤去する予定であることを挙げた。

 県は今回、事前協議の対象について、実施設計と環境保全対策を分けて検討した。実施設計については国の見解を踏まえ、事前協議の対象外であることを受け入れつつも、環境保全対策については「場所は特定されておらず、工事の影響は全て対象になる」(県関係者)と説明する。

 海上ヤードに投入されている石材から粉じんが舞う様子などが確認され「石材の洗浄が十分かについて疑義が生じている」(23日付けの県通知文)として、環境保全対策で海上ヤードも対象になると結論づけた。県関係者は、代執行が実施され工事が進む中でも「工事の監督権は県にある」とし、権限を持つ県の判断の重要性を強調した。

 県は、庁内で質問の取りまとめを進めており、週明けにも、海上ヤードの環境保全策を含め、防衛局に質問状を送付する方針だ。

 ただ、県の工事中止要求に「国が応じた事例はない」(県幹部)のが実態で、今回も防衛局は応じないだろうとの見方が大勢を占める。

 それでも海上ヤードが事前協議の対象になるとして通知に踏み切ったのは、前のめりな工事にくぎを刺す狙いがある。県関係者は「何も言わないで状況が悪くなるよりは、協議の中でいろいろ申し入れることができることについては、言っていく必要がある」と語った。

 (知念征尚、與那原采恵)