国政選挙の直前に公職選挙法で禁止されている「特定寄付」の疑いがある献金が続いていたことが分かった。政治資金問題について詳しい上脇博之神戸学院大教授は「国会議員は国の公共事業のあり方を左右する立場にあり、カネで政策が買われる可能性がある。税金が政治家側に環流するのも問題だ」と指摘している。
公選法では、国会議員の選挙は国と、地方議員や首長の選挙は当該自治体と契約関係にある者は「当該選挙に関し、寄付をしてはならない」と定められている。
県内でも2001年の市長選をめぐり、市発注工事の請負業者から寄付を受け取った当時の宜野湾市長が有罪になった例がある。
ただ、「選挙に関し」の解釈があいまいだ。総務省選挙課は「選挙に際し、選挙を動機とした寄付。寄付の時期ではなく、個別事情を勘案して判断する」と述べるにとどまる。過去の国会でも「一体、政治資金と選挙資金の区別ができるか」と実効性を疑問視し、契約関係にある者からの寄付は一律禁止するよう求める意見が出ていた。
上脇氏は、フロントラインプレスの調査で明らかになった自民支部への献金が特定寄付にあたる疑いを指摘した上で、「公選法を守る気がないとしか思えない。『選挙に関し』の規定で逃げようとするのであれば、政治資金規正法で企業献金そのものを全面禁止するしかない」と話す。
(南彰)