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宅配、引っ越しも値上げ サービス業 物価高で人件費上昇


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宅配、引っ越しも値上げ サービス業 物価高で人件費上昇 イメージ
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 今春は値上げの波が宅配便や引っ越しなどのサービス分野にも本格的に押し寄せている。事業者が物価高の中で従業員を確保しようと人件費が上昇。それでも一部の企業は人手不足のため事業の縮小に追い込まれ、利用者にも影響が出そうだ。

物価上昇率の推移

 総務省が毎月公表している全国消費者物価指数によると、サービス価格は前年同月比で去年7月以降、2%台の上昇が続いている。物流分野では、ヤマト運輸が4月から宅配便の送料を平均で約2%、佐川急便が約7%引き上げる。ともに労働コストの上昇や燃料価格の高騰に対応し、従業員や委託先の待遇改善を図ることを理由に挙げる。

 日本郵便はゆうパックの翌日配達を一部地域で縮小して翌々日にする。トラック運転手の残業規制が強化されるのに伴い、長距離輸送を複数のドライバーで担う中継輸送に切り替えるためだ。

 アップル引越センターは春の繁忙期の長距離料金を10%程度値上げした。受注件数も例年の9割程度に抑えるという。

 運転手不足に悩むバス会社も対応を迫られている。西日本鉄道はダイヤ改正に合わせ、3月から福岡・佐賀両県で路線バスの本数を3%超減らした。

 札幌市で運行するじょうてつバスは4月から86便減らし、路線を統廃合する。「慢性的な運転手不足に加え残業規制への対応で減便はやむを得ない」と説明する。

 サービス業では、ダスキンが4月に家庭向けの掃除や家事代行サービスの標準料金を約5~20%値上げする。

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、これまでサービスの適正価格に従業員の賃金が反映されてこなかったと指摘。「省力化につながる新しい技術を取り入れ、社会全体の意識を変えていく必要がある」としている。