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全国唯一、消滅自治体ゼロ 背景に出生率の高さ 離島や北部では課題も…


全国唯一、消滅自治体ゼロ 背景に出生率の高さ 離島や北部では課題も… 那覇市内(空撮)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 人口戦略会議の分析によると、沖縄は全国で唯一、将来的に消滅の可能性がある自治体がゼロだった。県外に比べて年齢構成が若いことや出生率が高いことなどが背景にあるとみられる。一方、転入数と転出数の差を示す「社会増減」を見ると、本島北部や離島の自治体での減少が改めて浮き彫りになった。

 今回と同様に若年女性の人口に着目した「日本創成会議」の2014年の報告では、人口移動が収束しない場合、県内でも東村、本部町、伊江村、渡嘉敷村、座間味村、伊是名村、久米島町、多良間村、竹富町、与那国町の10町村は消滅可能性があるとされていたが、今回の報告ではいずれも対象外となった。

 20年から50年の30年間で、若年女性の減少率が20%未満の「自立持続可能性自治体」には、全国で最多の17市町村が分類された。

 減少率が20%以上50%未満で「その他」に分類された24市町村のうち、人口流出が多く社会減対策が必要な自治体は石垣市など19市町村、自然減対策と社会減対策が共に必要とされたのが那覇市など4市村、人口は流入するが自然減対策が必要なのは恩納村のみだった。

 りゅうぎん総合研究所の金城毅客員研究員は、近年特に若い世代の女性の高学歴化によって都市圏の方がキャリアを生かせる機会が多いことから、地方からの転出は男性よりも女性が多くなっているとして「県内企業が、女性の働きやすい職場環境の整備や人材育成制度の充実、キャリアアップが見込める人事制度の構築などに取り組んでいく必要がある」と話した。

 (沖田有吾)