オランダ海兵隊員が米軍北部訓練場で実施された訓練プログラムに参加していたことについて、玉城デニー知事は30日、沖縄防衛局に事実関係を照会中とした上で「米軍がどのような訓練をするのかという詳細が県には伝えられない。どのような訓練であれ、外国の軍隊が米軍とともに行動を共にする訓練をするのは、基地負担の軽減にはならない」と述べ、強い警戒感を示した。在沖米軍施設では過去にも第三国軍が訓練を実施し、問題になった。米軍は同盟国軍にも訓練プログラムが役立つと主張している。
米軍は公式ウェブサイトに投稿した動画でオランダ海兵隊員の参加を紹介しながら「同盟国軍が作戦地域に関する意識を高めるのに役立っている」と強調。米海兵隊の将来像を描いた「戦力デザイン2030」の理解にもつながると意義付けた。
訓練プログラムは「米国と同盟国軍がジャングル環境での作戦を習熟し、備えておくために設計されている」としており、オランダ軍に限らず同盟国の参加も想定していることを示唆する。
2016年には英国海兵隊の将校らが米軍キャンプ・シュワブやハンセンで訓練を実施したことも判明している。防衛省は当初「第三国の人が訓練の目的で在日米軍施設を使用することは、安保条約上認められない」と指摘していた。
だが、後に政府が閣議決定した答弁書は、訓練目的での使用は認められないとしつつ「在日米軍施設・区域内における米軍の活動に米国以外の外国の軍隊や軍人が参加することが、いかなる態様であっても禁じられているものではない」と含みを持たせている。米軍基地内における「米軍の活動」に、第三国の軍隊が「参加」することが条約上許容されるかどうかは「個々の事案に即して判断されるべきだ」とした。だが、今回のように参加を把握できていなければ個別に認めるかどうかの判断さえできないことになる。
一方、普天間飛行場、嘉手納基地、ホワイトビーチの3施設は国連軍基地にも指定されており、国連軍地位協定を結んだ国による使用が定められている。だが今回使用が確認された北部訓練場は国連軍基地に指定されていない。 (明真南斗、知念征尚)