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沿道除草、新方式で景観改善 回数規定→「40センチ程度伸びたら刈る」 沖縄本島中・南部の県道に全面導入


沿道除草、新方式で景観改善 回数規定→「40センチ程度伸びたら刈る」 沖縄本島中・南部の県道に全面導入 性能規定方式導入後、雑草が除草されきれいになった沿道景観=2024年4月27日、うるま市の県道
この記事を書いた人 Avatar photo 與那原 采󠄀恵

 県道の雑草処理に関し、県は2021年度から一部で段階的に導入してきた刈り取り業務の新たな方式を、24年度からは中・南部土木事務所管轄の全ての県道に導入することを決めた。伸びすぎを防ぐことができ、導入路線では見通しや景観などに関する苦情が減っているという。国道を管理する沖縄総合事務局も、県からの提案を受けて本年度から一部国道への導入を検討している。特有の温暖な気候で生育が早く、雑草が伸びた状態が目立った沿道の景観改善が期待される。

 これまでは年に2回程度除草を行う「仕様規定方式」が採用されていた。だが、沿道の雑草に対する苦情などが多かったことから、県は16年度に適正な雑草管理による良好な沿道景観の形成に向けたガイドラインを策定。新方式の導入に向けた検討を開始した。

街路樹の根元に雑草が生い茂っている性能規定方式導入前の沿道景観=2020年8月、うるま市の県道(業者提供)

 新たに採られたのは「性能規定方式」と呼ばれる。除草の回数を規定した従来方式と違い「40センチ程度まで伸びたら刈り取る」といった条件を満たせば、時期や手法などは問わない。業者のノウハウを活用し、一定の長さまでに保つことができる。

 この発注方式は全国的には主流ではなく、県は業者らの負担なども考慮しながら導入に向けた協議を重ねた。21年度に一部県道へ試験的に導入した。初年度は県道の約23%が対象だったが、対象路線を徐々に拡大し、本年度から本島中南部の全県道に導入する。

 北部地域は、やんばる国立公園との兼ね合いから、慎重に検討を重ね、対象路線を拡大する予定。本年度は北部土木事務所管轄の約半数の県道に導入するとしている。

 業者にとっても新方式の導入で、雑草が管理しやすくなったという。「(前方式と)ほぼ同じコストで作業しているが、雑草の繁茂をしっかり抑えている」といい、「景観形成に貢献できている」とやりがいも感じている。

 県南部土木事務所の担当者によると、沿道の雑草だけでなく、街路樹などの高木も含めた沿道景観に対する苦情は導入初年度の21年度と比べ、22年度は半数程度に減ったという。今後のさらなる効果に期待する。

 県道の植栽を管理するための24年度県予算は約6億円。除草だけでなく、街路樹の剪定(せんてい)費用なども含まれる。県沿道景観推進室の担当者は、予算内でできる整備には限りがあるとし「除草だけでなく花壇の植栽管理など県と市町村、県民の連携で景観を保つという考え方も必要になる」と述べた。

 県は世界水準の観光地にふさわしい沿道景観の形成を目指し、22年に「~美ら島沖縄~花と樹木の沿道景観計画」を策定。本年度からは、道路管理課内に沿道景観推進室を設置し、「魅せる道路」づくりを目標とした沿道の雑草、植栽や街路樹の整備などに取り組んでいく予定だ。

(與那原采恵)