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辺野古のサンゴ採捕、承認の方向で調整 県、週明けに最終判断 沖縄


辺野古のサンゴ採捕、承認の方向で調整 県、週明けに最終判断 沖縄 名護市の大浦湾=2023年12月、小型無人機で小川昌宏撮影
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、大浦湾側に生息するサンゴ類の採捕を許可するよう国が勧告していた件で、県は期限の16日、許可処分に向けた手続きを進める意向を示しつつ「期限までに許可を行うことは困難」と回答した。新型コロナに感染し休養中の玉城デニー知事は回復後の週明けに最終判断を示す方針。関係者によると、最高裁で国の主張が認められていることも踏まえ承認する方向で調整が進められているという。

 勧告は関連訴訟で4月に最高裁が国側の主張を認める決定をしたものの、県が承認しなかったことを受けた措置。埋め立て対象海域のサンゴ約8万4千群体の移植を目的とする。勧告に応じなかった県に対し、農林水産相は17日にも、次の段階となる「指示」を行う見通しだ。

 県はこれまで、大浦湾側の埋め立て工事の前提となる軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請を承認しておらず、そのため防衛局が提出したサンゴ類の特別採捕許可申請も不許可としていた。しかし、設計変更申請の承認を巡る訴訟で敗訴。その後、農水相が県にサンゴ類の特別採捕を許可するよう是正の指示をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟でも敗訴し、サンゴ類の採捕許可申請を拒否する理由を事実上失った格好となっていた。

 県関係者は「司法判断が確定しているので、それに基づき対応せざるを得ないだろう」と語る。新基地建設の反対を掲げる玉城県政には厳しい判断となるが「(サンゴ移植は)環境の問題であり、埋め立て許可申請とはまったく意味合いが異なる」と強調した。

サンゴ類の移植を巡っては、2021年も最高裁判決で敗訴し、約4万群体のサンゴ類移植を沖縄防衛局に許可した。

(新垣若菜)