米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は24日、大浦湾側のサンゴ類約8万4千群体の移植作業に着手した。同日午後、作業員らが海に飛び込み、潜水作業をする様子が確認された。防衛局は移植作業の詳細を明らかにすることについて「作業の円滑な実施に影響を及ぼしかねない」とした。
同日午後1時35分ごろから「潜水調査中」の旗を掲げた船舶が工事区域のフロート内に進入し、同2時ごろから約2時間半、少なくとも3カ所で潜水作業が確認できた。県によると、24日に沖縄防衛局から「採捕に向けた調査をしている」と説明があった。
県は基地建設の設計変更申請を巡る代執行訴訟、サンゴ採捕を巡る訴訟でも4月に敗訴が確定し、今月23日に国による特別採捕(移植)を許可していた。今回の移植が完了すれば、この事業で防衛局が移植対象としているサンゴ類の移植が終わることになる。
県は採捕の許可条件として、移植先と移植元の状況など、詳細な情報を県に事前に報告するよう求めた。県担当者は24日の調査について「県が示した条件に反してはいない」とし、今後も詳細な報告を求めるという。防衛局は24日午後、県に今後の採捕計画書を提出した。
防衛省の茂木陽報道官は24日の記者会見で作業状況を問われ「自然環境や住民の生活環境にも十分に配慮しつつ、辺野古移設に向けた工事を着実に進めていきたい」と語った。防衛省担当者は25日以降の作業は「気象や海象などの条件が許す範囲で続けていく」と答えた。移植期間は12カ月を計画している。
(池田哲平、明真南斗、新垣若菜)