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嘉手納基地への無人偵察機「トライトン」配備、狙いは? <ニュースはじめの一歩>


嘉手納基地への無人偵察機「トライトン」配備、狙いは? <ニュースはじめの一歩> 着陸する米軍の無人偵察機MQ4トライトン=20日午後9時2分、米軍嘉手納基地
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 Q 米海軍が20日から嘉手納基地へ大型の無人偵察機MQ4トライトンの一時配備を始めたと報道がありました。どういう狙いがありますか?


 A トライトンは情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動を担う無人機です。日米両政府は、海洋進出を強める中国や、北朝鮮の船が洋上で別の船に横付けして物資を積み替える「瀬取り」を監視するために、情報収集能力の一層の強化が必要だとしており、トライトンはその一翼を担うことになります。

 嘉手納基地にはすでに、同じくISR活動を担う無人機としてMQ9リーパーが配備されています。リーパーが比較的低い高度を飛行し、監視対象のより詳細な画像をほぼリアルタイムで提供できるのに対し、トライトンはより高い高度を飛行し、広範囲の海上目標に関する画像や信号情報を収集するといった役割の違いがあります。

 米海軍は嘉手納基地にトライトンを一時配備する理由として、トライトンが拠点とする米領グアムにおける台風などの悪天候の影響を低減するためだと明らかにしました。嘉手納基地については「活動場所に近い飛行場」だともしており、東シナ海をはじめとした沖縄周辺海域が活動場所になると見込まれています。

 嘉手納基地がISR拠点としての性格を強める中、トライトンの一時配備は象徴的な動きです。相次ぐ外来機飛来や格納庫の整備なども続いています。政府は沖縄の基地負担軽減を掲げていますが、嘉手納基地の現状はそれに逆行しています。負担軽減の取り組みから取り残されているのは課題であり、具体的な改善策が求められています。