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【深掘り】米軍機から燃料流出、通報は翌日午後 管理体制に疑問視の声 沖縄・嘉手納基地


【深掘り】米軍機から燃料流出、通報は翌日午後 管理体制に疑問視の声 沖縄・嘉手納基地 嘉手納基地(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍嘉手納基地で25日にジェット燃料の流出事故が発生していたことが発覚した。自治体への伝達は発生の翌日午後で、日本側への通報を軽視する米軍の姿勢が改めて浮き彫りとなった。

 現段階で周辺の河川から油分などは検出しておらず、影響は「限定的」(県関係者)との見方が強いが、有機フッ素化合物(PFAS)など基地を巡る汚染問題は深刻化している。米軍が環境保全を軽視する姿勢を取ることは万一事故が発生した際に重大な汚染を引き起こす恐れがあり、地元は速やかな情報提供を求める。

 防衛省によると、流出事故の発生は25日午後0時45分ごろ。一報は在日米大使館から外務省に伝えられたが、26日になってからだった。防衛省は26日午後、県や嘉手納基地周辺自治体に伝達。政府は一般に発表しておらず、県民に伝わったのはさらに後になった。

 県は28日にX(旧ツイッター)を通じて、流出時の速やかな通報や再発防止を申し入れたと公表した。

 嘉手納基地を巡っては、ジェット燃料の流出事故が過去に繰り返し発生したほか、近年はPFASの汚染源となっている可能性が高いとされ、環境面での懸念を強めている。

 近くを流れる比謝川はPFAS対策のため2022年以降、取水を停止しているが、水不足を受けて今年2月後半から4月後半まで約2カ月間は取水を一時再開していた経緯がある。

 特に汚染の流出事故では時間とともに流されて拡散するため、早めの対策や調査が肝心となる。県関係者は「より早い情報提供が必要だ」と訴えた。政府関係者の一人は「翌日に言われても対応が難しい。(米軍が)すぐに言ってくれないと困る」と嘆いた。米陸軍貯油施設(うるま市)から、PFASで汚染された消火用水が流出した際も、通報は判明の翌日だった。

 米軍からの通報は遅いだけでなく、情報量も不十分だ。米軍は「雨水排水路に流れた」と説明しているが、防衛省によると28日午後5時現在、どこの雨水排水路なのかさえ特定できていない。

 當山宏嘉手納町長は、町域への流出や地下浸透による環境への影響に懸念を示し、「どういう管理体制で行っているのか気になる」と顔を曇らせた。パラシュート降下訓練や無人機の配備など、基地負担が高まる状況下での出来事に「町民に不安を与えないようにしてほしい」と要望した。 

 (知念征尚、明真南斗、金盛文香)