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【深掘り】米国でも安全性への懸念、依然強く オスプレイ飛行再開、飛行範囲を今後拡大も 米軍嘉手納基地


【深掘り】米国でも安全性への懸念、依然強く オスプレイ飛行再開、飛行範囲を今後拡大も 米軍嘉手納基地 米軍嘉手納基地内でホバリング訓練を実施するCMV22オスプレイ=10日午後1時44分
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米空軍のオスプレイが鹿児島県・屋久島沖で墜落した事故を受け、他の軍種の機体と共に昨年12月以降、飛行を停止していた米海軍のCMV22オスプレイ。米軍嘉手納基地にとどまっていた機体が飛行を再開した。海軍機を巡っては米国防総省の評価機関が装置の不具合により「運用に適していない」との評価を下しており、機体の安全性に対する懸念も依然として強い。県が事故原因の判明までの飛行停止を求める中での再開となった。 

 今年3月に米海兵隊が飛行を再開した後も、嘉手納に駐機する3機の離陸は確認されていなかった。

 米下院の小委員会がまとめた文書によると、米軍はオスプレイの飛行再開後も、飛行できる範囲について緊急時に着陸できる飛行場から30分以内の空域に制限しており、洋上に展開する空母の支援に使用できない状態が続いている。

 屋久島の墜落事故とは別に、米国防総省の運用試験・評価局が今年1月に出した年次報告書では、海軍のオスプレイについて防氷装置など多くの不具合が起きていると指摘し「運用に適していない」と評価していた。

 オスプレイを巡っては2022年に米カリフォルニア州で発生した海兵隊オスプレイが墜落した事故を受け、死亡した隊員の遺族が、メーカーを相手に損害賠償を求める訴訟を起こすなど、米本国でも安全性への懸念が強まる中での飛行再開となった。

 米海軍は今後も訓練を続け、飛行範囲を徐々に広げていくとみられる。

 空母艦載機で、在日米軍所属でないため、日本政府が得られている情報も限定的だ。いつまで嘉手納基地にとどまるかなど具体的な情報は明らかになっていない。

 県内で飛行する状態が長引けば、周辺住民を危険にさらすことになる。

 県は屋久島沖での事故について原因や対策を明らかにするよう再三求めているが、現在も詳しい説明はない。県幹部の一人は「米軍は安全性を強調しておきながら事故を繰り返していた。飛行停止を求める考えに変わりはない」と話した。

(知念征尚、明真南斗)