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【深掘り】突然途絶えた連絡「理由は説明ない」 米兵性的暴行続発、情報伝達は“ブラックボックス”のまま


【深掘り】突然途絶えた連絡「理由は説明ない」 米兵性的暴行続発、情報伝達は“ブラックボックス”のまま
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米兵性的暴行事件を受け、政府が情報共有の在り方について改善を示唆し始めた。事件の続発について情報を県に伝えなかった政府の責任を問う批判が高まったことが背景にある。一方、政府内で今回どのような情報伝達がなされたかはブラックボックスのままで、実効性のある改善策が打ち出せるかは見通せない。 

 情報共有の在り方を検討する方針について、上川陽子外相に続き、2日には林芳正官房長官が言及。政府関係者は「高いレベルで発信したのは、それだけ(政府への反発を)重く受け止めた表れだ。本気で取り組む」と話した。だが、どのような方向性で改善を図るのかは「決まっていない」と明かした。

 今後の政府内で迅速に検討が進み、具体的な改善策が見いだせるかが焦点となる。そのためにも今回の一連の事件を巡って公表や県への伝達がなされなかった経緯の解明は必須だ。

 だが、防衛省は報道前に事件を把握していたか否かについて、一貫して伏せている。1997年に日米が合意した通報手続きの対象に該当するとしつつ、例外扱いする基準は「個別具体的な事案の性質に応じて」として不明瞭なままだ。

 県によると米軍関係者による性犯罪について、2021年までは沖縄防衛局や県警から連絡を受けていた。21年に2件、16年にも1件の連絡があった。

 21年4月の空軍軍属による強制性交等未遂事件では、同7月30日に容疑者が通常逮捕された際に県警から広報連絡を受けたほか、防衛局からも情報提供があった。

 同年10月の海兵隊員による強制性交等致傷事件の際は、12月に米側から情報提供を受けた。防衛局からの情報はなかった。県警に問い合わせたところプライバシー保護の観点から取り扱い注意との説明を受け、県は公表を控えつつ、12月24日に米海兵隊と在沖米国総領事に対して抗議。同28日には防衛局や外務省沖縄事務所にも非公開で抗議するなどしていた。

 それ以前の事件についても県警や防衛局から情報提供があったといい、通報ルートは機能していたとみられる。

 22年は凶悪犯に分類される米軍関係の性犯罪はなかった。県関係者によると21年を最後に突如として連絡がなくなったことについて「理由は説明されていない」という。

 県幹部は「県もプライバシーに配慮した対応をしている。いつから県には伝えないと判断したのか」と問題視。国が通報体制の見直しを示唆していることに「潮目が変わってきた」と感触を語り、3日に上京して抗議要請を行う玉城デニー知事に対する対応を注視する姿勢を示した。

(知念征尚、明真南斗)