有料

サンゴ損傷、行政指導 辺野古の新基地建設 沖縄県、国に作業中断要求


サンゴ損傷、行政指導 辺野古の新基地建設 沖縄県、国に作業中断要求 県庁本庁舎=6日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、大浦湾のサンゴが損傷された問題で、県は9日、「同様の事故が起こり得る」として、サンゴ移植が終了するまで周辺での作業を控えるよう求める行政指導文書を沖縄防衛局に送付した。

 防衛省は専門家への聞き取りで「サンゴ類への影響は大きくない」として、くい打ち試験の作業に並行して移植推進の方針を示している。
 県は損傷程度や移植への影響などを確認中として損傷サンゴの移植の一時中断を求めていた。文書は、損傷サンゴが移植に耐え得るか環境監視等委員会の見解を求めることや週に一度の経過報告なども求めた。

 県の文書送付に先立ち、木原稔防衛相は9日午前の閣議後会見で、移植を終える前に一部の護岸工事を並行して進めることのリスクを問われ「環境保全に配慮しながら適切に対応していく」と述べた。移植が完了せずとも付近の工事を進める方針を堅持した形で、損傷サンゴの状態については「県とやりとりしている」と強調した。

 防衛省は1日、大浦湾北側にクレーン船を配置してくい打ち試験の作業を開始。4日に大型サンゴの損傷を確認した。作業を一時中断したが、8日に再開した。アンカー設置位置を誤ったことが要因とみて、今後はサンゴの位置をよく確かめることや十分な距離を保つことを業者に周知した。

 辺野古の工事を始めた当初、サンゴ移植を終えた後に護岸などの工事に入ることを想定していたが、方針を転換して一部工事はサンゴが近くに残ったままでも並行して続ける考えを示していた。 

(明真南斗、新垣若菜)