2013年末、仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認した際、沖縄の民意は反対であるということを世界に知らしめるために、オリバー・ストーン、マイケル・ムーア、ナオミ・クライン各氏など海外識者103人による声明「私たちは沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のためにたたかう沖縄の人々を支持する」を出し、日本や米国の媒体に取り上げられた。
それから10年経(た)った昨年末、新基地の大浦湾側の「軟弱地盤」に対処するための防衛省による設計変更申請の承認を拒否した玉城デニー知事に代わり、国交省が「代執行」した。このことを受け、日頃英語で沖縄について意見情報交換している私たち「Okinawa Interest Group(沖縄関心グループ)」は10年前の声明を引き継ぎ、今年初め、新たな国際声明「米国と日本は沖縄の軍事植民地支配をやめよ」を日米政府宛てに出した。
沖縄の「自己決定権、民主主義、自治権」への支持を表明したこの声明は、米国をはじめ世界で2千を超える署名を集めた。全国どこにも例がなかった「代執行」を沖縄に対して行った政府について、日本全体から怒りの声が上がることはなく、私たちは声明の中でこれを「植民地主義的無関心(colonial indifference)」と呼んだ。
米国のメディアに取り上げてもらわなければという思いで、先月沖縄関心グループは国際記者会見を企画した。6月13日(米国時間)、ジャーナリストのアビー・マーティン氏と、Okinawa Environmental Justice Project(OEJP)代表の吉川秀樹氏を迎え、オンライン公開記者会見「沖縄と世界の環境を破壊する軍事化」を行った。
22年に沖縄を取材し、米国の戦争と基地が地球の最大の環境破壊の原因であると訴える映画『地球の最大の敵』の完成が間近であるマーティン氏は、問題の根底にある「軍産複合体の利益を生み出すシステム」の廃止を訴え、巨大な米軍事帝国に「国際的連帯」で立ち向かう重要性を強調した。
吉川氏はこの基地建設は「ストッパブル」(阻止可能)と断言した。日本政府が埋め立てありきという姿勢を固持する一方で米国議会、連邦議会調査局、シンクタンクなどが「軟弱地盤」の技術的困難に懸念を示している。吉川氏らは昨年9月に米国防省に対し、辺野古新基地の実現可能性や環境影響、完成予想時期などについて情報公開請求し、返答を待っている。昨年11月には、在沖米軍幹部が報道関係者に、軟弱地盤による影響への懸念を示し、完成できるとしても早くても2037年か、それ以上かかると見込んでいること、さらに普天間基地の使用を続けたいと表明したと報じられた。
オンライン記者会見では、実現可能性さえない基地を造ろうとしているこの愚かさを、米国市民に広く伝えたいという思いがあった。会見は約400人の登録、140人のリアルタイム参加を得て活発な議論が持たれたが、目標であった米国の主要メディアによる報道は実現していない。「無関心」の壁の厚さを感じざるを得ないが、引き続き努力を続ける。日本語字幕をつけた動画をYouTube(https://youtu.be/KdGadODI9zw)にアップしたので、ぜひ多くの人に見てほしいし、広めてほしい。
(「アジア太平洋ジャーナル・ジャパンフォーカス」エディター)