米空軍が極東最大の拠点とする嘉手納基地には、空軍の無人機MQ9が8機配備されているほか、海軍の無人機MQ4も今年5月から10月までの期間限定で2機が展開している。海兵隊もMQ9を展開することで、嘉手納では一時的ながら3軍の無人機が同時に運用される可能性がある。嘉手納基地の負担増加が続き、反発が広がる中、さらなる負担増につながる恐れがある。
米海兵隊は小規模部隊を島々に分散展開し、攻撃拠点を確保する作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」を進めており、これを担う中核部隊として昨年11月、沖縄でも第12海兵沿岸連隊(MLR)をキャンプ・ハンセンで発足させるなど体制整備を進める。
無人機MQ9はMLRにとって「必須システム」(米議会調査局報告書)に挙げられる。今回の配備は期間限定とされるが、将来的な常駐化への懸念もある。
防衛省によると、海兵隊のMQ9は、既に嘉手納基地で運用されている空軍の機体と同じ機能で「見た目や色も同様」だという。南西諸島周辺での警戒監視・偵察活動を行うという配備目的も変わらない。
多軍種の統合運用など連携強化が盛んにうたわれる中、県関係者は「(既に配備されている)空軍機から情報共有はできないのか」といぶかる。防衛省関係者は「情報を共有すること自体は可能だが、機数が多ければ同時に飛ばせる場所が増える」と意義を強調する。
だが、嘉手納基地に配備される無人機は最大16機となる。負担増大に歯止めが掛からない現状への懸念がくすぶる。
(知念征尚、明真南斗)