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辺野古新基地建設、5319億円支出済み 23年度まで 総事業費の57%に


辺野古新基地建設、5319億円支出済み 23年度まで 総事業費の57%に
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で防衛省が2023年度までに支出した額が約5319億円に上ることが30日、防衛省への取材で分かった。同省が総事業費として示す9300億円の57%に当たる。一方で工事の進展は埋め立て土砂量で約15%にとどまる。軟弱地盤を抱えて水深も深い大浦湾側の工事は今年1月に始まったばかりだ。新基地建設にかかる費用が政府試算を超える可能性が濃厚となった。

 政府は軟弱地盤の存在を示さずに事業を始め、着手後に地盤改良工事を追加して工期が長期化し、工費も増大した。膨大な予算を投じて早期返還につながらない移設を進める不合理さが改めて浮き彫りとなっている。

 防衛省は19年、総事業費は約9300億円になると説明した。地盤改良工事の追加で14年に説明していた3500億円から約2・7倍に膨れあがった。大浦湾の工事に着手していない22年度の時点で支出済み額は半分近い約4312億円に達していた。23年度末までにさらに約1千億円支出したことになる。

 大浦湾側を含む辺野古新基地建設計画全体で必要となる土砂総量は2017万6千立方メートルが見込まれているが、23年11月末時点の投入量は全体の15・76%。その後、23年度内の土砂投入量は大きく増えていない。

 25年度も大規模な工事を見込んでおり、さらに増大する可能性がある。ただ、防衛省は30日に決定した25年度予算の概算要求で、辺野古新基地を含む米軍再編関係経費は「事項要求」としており、金額は示されていない。

 辺野古新基地の工事費を巡っては入札後に変更契約を重ねて増額する手法が常態化している。

 31日で、県が仲井真元知事による辺野古の公有水面埋め立て承認を撤回してから6年が経過した。

 (明真南斗)