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弾薬庫の杣山「記録保存」へ 沖縄市、倉庫移設先 防衛局決定 樹木残すか「回答は困難」


弾薬庫の杣山「記録保存」へ 沖縄市、倉庫移設先 防衛局決定 樹木残すか「回答は困難」 嘉手納弾薬庫の知花地区=8月撮影
この記事を書いた人 Avatar photo 福田 修平

 米軍牧港補給地区の倉庫群の一部などが移設予定の沖縄市の嘉手納弾薬庫知花地区に、琉球王国時代に木材調達のため管理されていた「杣山(そまやま)」が残っていた件で、沖縄防衛局が現場をそのまま残す「現場保存」などの対応ではなく、写真や資料などを残す「記録保存」に決定していたことが31日までに分かった。沖縄市教育委員会は、施設の計画や整備で杣山の環境への配慮を求める要請を同局に提出していた。 

 同土地は、杣山の環境を残す土地が県内で他に確認できていないことから、琉球王国時代の林業を知る土地として重要性が指摘されている。一般的に記録保存は、文化財をそのまま残す「現場保存」や、場所を移して現場を残す「移設保存」ができない場合の対応だという。

 沖縄防衛局は杣山の環境を残せるかどうかについて「今後、文化財調査を実施する予定であり、その後に設計を行うため現時点での回答は困難」としている。杣山制度で計画的に植えられたとみられる樹齢200年を超えるイヌマキなどの扱いについては「現時点で回答は困難」としつつ「伐採する場合はその所有者を確認の上で適切に対応することになる」と説明した。

 調査などを担当している沖縄市立郷土博物館によると、今回の事例は植生そのものであるため、拝所や遺跡など形のあるものよりも保存の判断が難しいという。記録保存の方法については今後検討して決めていくが、樹木や地形などの周辺環境の計測や写真撮影などを行うことが想定される。

 沖縄防衛局は、市教委から受けた配慮要請について、記録保存とすることを同局、沖縄市、市教委の三者で確認していると説明。「配慮要請があったことで、移設計画に変更が生じたものではない」としている。

(福田修平)