沖縄市の米軍嘉手納弾薬庫知花地区内で発見された杣山(そまやま)の環境について、沖縄の自然などに詳しい専門家は、琉球王国時代の政治家・蔡温との関わりについても指摘し「蔡温の教えを生きた木で確認できる貴重な場所」と説明する。現在県内では、防風林の「多良間島のポーグ(村抱護)」が蔡温が関わったとされるもので唯一、日本森林学会の林業遺産に認定されているが、今回の杣山の環境は大規模かつ、蔡温の政策の最優先事項であり、文化財としての重要度も高いと考えられるという。
沖縄の自然などに詳しい理学博士の佐藤寛之さんによると、杣山の環境が残っているとみられる場所は他にない。杣山を含め、蔡温の示した林業政策をまとめた「林政八書」と弾薬庫内の植生などを照らし合わせることで、同書のさらなる理解や、県内にある別の土地の研究にも生かすことが期待できるという。
「林政八書」は、現代語のほか、英語にも翻訳されており、王国時代の林業政策に対する注目度は高いとみられる。
佐藤さんは「沖縄市だけでなく、県や国のレベルで重要な場所だと思う。より多くの人にこの土地へ関心を向けてほしい」と期待した。
(福田修平)