1997年に日米が合意した米軍関係の事件事故通報手続きを巡り、外務省が合意の一部を省いてウェブサイトに掲載していたことが12日までに判明した。
日本側から米側への通報手続きも合意しているが、外務省サイトには米側から日本側への通報の概要のみが掲載されていた。調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP、河村雅美代表)が外務省からの情報公開で非公表部分を入手した。
琉球新報が4日から9日にかけて外務省に問い合わせたところ、同省は12日、取材に回答し、ウェブサイトに全文を掲載した。
外務省によると、日本側からの通報手続きは交通事故で米軍関係者に被害があった場合などに適用される。片方だけ掲載していなかった理由について、外務省は「具体的な理由は不明だが、サイトを更新する中で誤って消えてしまった可能性がある」と答えた。
7月の衆議院安全保障委員会では、赤嶺政賢衆院議員の質問に上川陽子外相は「表紙に当たる部分は非公表としているが、内容に係る部分は全て公開している」と答弁していた。
事実と異なる答弁ではないかとの指摘に、外務省担当者は「事件に関連して米側から日本側への通報を問われていた。赤嶺氏も『在日米軍に係る事件・事故発生時の通報手続き』と言及している」と述べ、日本側から米側への通報手続きについては尋ねられていないとの認識を示した。
ただ、表紙は1枚で、合意した日米代表者の署名とともに「一つ目の添付文書は、米国政府から日本政府への通報手続を記載している。二つ目の添付文書は、日本政府から米国政府への通報手続を記載している」と記載されており、両方の手続きが一対となっていることが分かる。
IPPの河村代表は「国会での要求を受けたのに合意の全容を示さなかったのはなぜか。不信を持たれても仕方ない。仮訳や概要では原文と齟齬(そご)が生じる可能性があり、原文全てを公表すべきだ」と指摘した。
(明真南斗)