県監査委員(渡嘉敷道夫県代表監査委員)は20日、2023年度の県決算審査意見書を池田竹州副知事に提出した。病院事業会計の純損失は65億238万円、診療など本来業務に関わる医業損失は143億9296万円に上り、ともに単年度で過去最大の赤字となった。
意見書は県立病院の経営状況を「極めて厳しい状況にある」と指摘した。経常損失および純損失を計上するのは18年度以来5年ぶり。
新型コロナウイルス感染症関連補助金が大きく減少したことや物価高騰による医療機器、薬品の値上げ、賃上げなどが主な要因。
池田副知事は「政策医療を担う県立病院がしっかり役割を果たせるよう、改善の取り組みを進め、医師などの医療スタッフの安定的な確保を図る」と話した。
渡嘉敷代表監査委員は県の行財政運営について「依然として国庫支出金などに依存した脆弱(ぜいじゃく)な財政構造となっている」とし、産業振興による安定的財源の確保などに取り組む必要性を指摘した。
債務負担行為の手続き不備で国庫補助金を受け取れなかった事案については「進捗(しんちょく)管理の徹底、事務処理のチェック体制の見直しなど、実効性のある再発防止策を講じてほしい」と求めた。
(石井恵理菜)