27日投開票予定の衆院選に向け、県内で争点になる日米地位協定や基地・安全保障、経済振興などについて、識者に主要な論点を聞く。
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―現状の地位協定の問題点は何か。
「問題点だらけだが、基地への立ち入り制限や、2004年の沖国大ヘリ墜落時に明らかになった共同捜査の問題。特に深刻なのは、国内法令の適用と、被疑者の公訴前の身柄引き渡し問題だ」
「地位協定では、米軍は日本の国内法の『尊重』が義務づけられているが、日本側で自縄自縛に陥るべきではない。被害が出た場合には、日本の法令順守を主張していく必要がある」
―どのような改定が必要か。
「公訴前の身柄引き渡しについては、『好意的配慮』頼みをやめて、実効性を持たせる必要がある。国内法令の適用については、例えば航空法では、(日本では)国内法を米軍には適用しないという『特例法』をつくっている。日本の国内法であるため、特例法を変えると米側に伝えたらどうか」
―石破茂首相が考える地位協定改定への評価。
「石破首相は、日米同盟の強化を目的として米国に自衛隊基地を置き、そのために地位協定の改定が必要になるとしている。沖縄の人が考える地位協定改定は、基地周辺住民の負担を軽減することや、なくすことが目的。石破首相の目的と、根本的なところでずれている」
―64年変わっていない地位協定を改定するにはどのような工夫が必要か。
「一番のカギは、本土の人たちが、いかに『自分事』としてこの問題を考えられるか。選挙では、景気や物価のことなどに関心を持ちやすいが、日本の重要な問題として地位協定があるということも政治家にも、もっと訴えてもらわないといけない」
―地位協定改定について今後の選挙戦でどう論じられていくべきか。
「衆院選後も、各政党が地位協定改定を持続的に訴えていくかどうか。地位協定改定を言いさえすれば、沖縄県民の声に応えているというような雰囲気がある。沖縄の場合、選挙の有無にかかわらず残念ながら日常的に地位協定の問題がある。政治的なイベントや、一時のブームで終わらせることなく、根気強く有権者にこの問題を訴え続けていくべきだ」
(’24衆院選取材班)