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新基地必要か問い直すべき 基地・安全保障 前泊博盛氏(沖国大教授)<2024衆院選・論点を読む 識者の見方>2


新基地必要か問い直すべき 基地・安全保障 前泊博盛氏(沖国大教授)<2024衆院選・論点を読む 識者の見方>2 前泊博盛氏
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―米軍基地にまつわる米兵の事件事故が多発している。県選出国会議員の役割は。

「米軍内ではここ十数年で性犯罪の件数は年間8千件を超えるほど大幅に増加している。国会議員らは個別の米兵性暴行事件に目を奪われず、大局的な視点で米軍内の性犯罪増加の原因究明が必要だ。その上で日本国内で起きた米兵事件に対しては、国内法を適用するなど地位協定を含む法改正を行うのが国会議員の役割だ」

―辺野古新基地建設について。

 「日米特別行動委員会(SACO)合意からすでに四半世紀が過ぎ、ドローンやミサイル戦争の時代になっている。米軍幹部すら『今後、いつ完成するか、本当に完成するか分からない基地』と眉をひそめている。実際に普天間基地ではここ数年、多大な予算を投じて施設の増改築と更新が進んでいる。辺野古新基地建設は本当に必要か。普天間は本当に返還されるのか。いま一度真剣に問い直すべきだ」

―中国を意識した南西諸島の軍備増強について。

 「ウクライナ戦争でもロシアが最初に攻撃したのは軍事基地だった。台湾有事、沖縄有事とあおっているが、中国は核保有国だ。核保有国との戦争が、いかに愚かで危険か。台湾有事はいったい誰が仕掛けているのか、見極めるべきだ」

―有権者は候補者をどう選んだら良いか。

「軍事対立ではなく外交交渉で対話を重ね、対立を解消できる外交力を持った政治家を選ぶべきだ。沖縄の軍事化、戦場化を容認する政治家を沖縄は選ぶべきではない」
 「50%を切る投票率の低下が深刻だ。国民の半数が国政に期待していない。政治への不信感をどう払しょくするか。現職議員らの選挙時の公約や実績を検証し、候補者らの政治力、実行力を見抜く目が必要だ。投票の棄権は、自らの人権と生存権を他人に白紙委任するに等しい」

(’24衆院選取材班)