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【3区】緊急条項に2氏反対 憲法・政治姿勢<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>3


【3区】緊急条項に2氏反対 憲法・政治姿勢<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>3
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報が衆院選立候補者に実施した政策アンケートの3回目は政治姿勢、憲法改正などへの見解を紹介する。選挙区への立候補者のうち、岸田政権への評価では自民前職4氏が「評価する」と回答したのに対し、その他の候補者全員が「評価しない」と回答した。憲法改正について最も近い考え方を聞いたところ、「オール沖縄」4氏のうち3氏とれいわ新人が「現憲法堅持」を訴えた。これに対し、自民前職4氏のうち3氏や無所属元職、維新新人、立民新人が「現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し」と回答。自民前職1氏と参政新人は「全体的な見直しによる新憲法制定」を訴えるなど、見解が分かれた。

  (’24衆院選取材班)

3区

 3区は改憲について意見が割れ、戦争やテロ、大規模災害など有事の際に政府の権限を強める緊急事態条項の創設について、1氏が「賛成」、2氏が「反対」を示した。

 屋良朝博氏=立民=は「議論を打ち切り改憲に突き進むことは認められない」として「現憲法の堅持」を強調。緊急事態条項は「権力の悪用と暴走を許す可能性がある」として反対した。

 島尻安伊子氏=自民=は「現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し」とした。緊急事態条項については「迅速に対応するため、政府の権限を一時的に強化することは必要だ」として賛成した。

 新城司氏=参政=は、改憲について「全体的な見直しによる新憲法制定」を主張。緊急事態条項については「パンデミック条約が含まれている」という理由で反対の立場を示した。

<回答全文>

屋良朝博氏島尻安伊子氏新城司氏
1.改憲について最も近い考え方現憲法の堅持(C)現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し(B)全体的な見直しによる新憲法制定(A)
理由現行憲法の基本理念と立憲主義に基づき「論憲」を進める段階であり、議論を打ち切り改憲に突き進むことは認められない。現状において、国家権力を強め、国民の権利の制約する論点が現在の議論に盛り込まれているため、改憲には反対である。記述なし創憲をする。
2.憲法9条改定についての賛否変えるべきではない(B)変えるべきだ(A)変えるべきだ(A)
理由自民党の主張する憲法9条への自衛隊を明記する9条改正については、フルスペックの集団的自衛権の行使が可能になりかねず、専守防衛・平和主義という憲法の基本原理に反する。戦力不保持・交戦権否認を定めた9条2項の法的拘束力が失われる。記述なし記述なし
3.自衛隊の位置付けについての考え方現状維持(B)憲法への存在明記(A)憲法への存在明記(A)
4.緊急事態条項創設への賛否反対賛成反対
理由※必須緊急事態における重要な懸念点、権力を集中することで、権力の悪用と暴走を許す可能性がある。現行法及び現行法の改正で十分対応できる中、まずは現行法での運用を再点検するべきだ。衆議院議員任期延長も参議院での対応で十分と言える。大規模災害やテロ、または感染症の大流行などの緊急事態が発生したとき、それに迅速に対応するため、政府の権限を一時的に強化することは必要パンデミック条約が含まれているから。
5.改正地方自治法が成立・施行されたことへの評価評価しない(B)評価する(A)評価しない(B)
理由※必須国民の安全に重大な影響を及ぼす事態を突然持ち出して、改正前から地方自治法で定める国の関与の原則とは別に、特例を規定する必要はない。災害対策基本法、感染症法、新型コロナ特措法など個別法で国の指示権が存在し、不足分は個別法の改正で事足りる。大規模災害やテロ、または感染症の大流行などの緊急事態が発生したとき、それに迅速に対応するため、国から自治体へ「指示」をすることは必要国への権利集中につながる。
6.死刑制度存続への賛否その他:国家が人命を奪う制度は改めるべきと考える。(E)存続すべきだ(A)存続すべきだ(A)
7.前回選挙後3年間の岸田政権への評価評価しない(B)評価する(A)評価しない(B)
理由故安倍元首相の国葬、安保3文書など禁じ手を連発した。米議会でインド太平洋にまで米軍に付いていくと宣言したのは意味不明。肝入り政策の異次元の少子化対策は中身がなく、国民負担はないとウソをつき、医療保険料値上げを財源にした不誠実さは目に余る。記述なし異次元の少子化対策も不発に終わった。
8.玉城デニー県政への評価評価する(A)評価しない(B)評価する(A)
理由子どもの貧困対策に多額の予算を投じており、学生のためのバス通学費等支援事業、給食費無償化対策など生活者第一の施策を進展させた。歴代県政が未着手の自主的な予算獲得にも動き出し、地域平和外交など対話尊重の現実的な安全保障政策を力強く進めている。記述なし記述なし
9.旧統一教会問題への受け止めや、今後の対策外国の宗教集団が選挙支援を通して自民党に影響力を持ち、日本の政治を歪めているのは大問題だ。選択的夫婦別姓を認めないのも教団の影響が指摘されている。故安倍元首相が総裁室で教団幹部と面談した事実が報じられるなど、闇の関係は見え隠れする。統一教会及びその関連団体との関係については、「一切関係を持たない」宗教団体からの献金の禁止
10.調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の今後のあり方について早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務づける(B)使途公開・返納を義務付けるかどうかを含めてさらに議論を続ける(C)費目自体を廃止し、経費申請時は民間企業同様に領収証を添付して申請(A)
11.政治と金の問題を受け、政治資金の透明化にむけての対応先般なされた政治資金規正法改正は天下のザル法だ。領収証の公開が10年後では不正の温床を残す。領収証の公開 提出 保存義務の明記など、再度の改正が必要である。政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費の使途公開も必要である。党運営の新たな指針「自民党ガバナンスコード」に基づき、政治資金の徹底した 透明化と厳正なコンプライアンス対応などに取り組む。収支報告に全て記載する
12.国会議員の世襲について親・近親者からの政治団体・政治資金の引き継ぎの禁止(C)親・近親者からの政治団体・政治資金の引き継ぎの禁止(C)特に問題はないので現状を維持(A)
理由被選挙権は公平な権利でなければならない。政治活動を開始するにあたり、親族の金や地盤を引き継いでは、他者の被選挙権に大きなハンデを生じさせる。政治資金の世襲制限をせねば、相続税もない政治資金が特殊な聖域になってしまう。記述なし記述なし

<比例・回答全文>

金城泰邦氏島袋恵祐氏
1.改憲について最も近い考え方現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し (B)現憲法の堅持(C)
理由記述なし日本国憲法は平和主義、国民主権、基本的人権を明記し、前文や9条、25条をはじめ、極めて先駆的な規定を持っている。沖縄県民が本土への復帰に際し願ったのも日本国憲法のもとに戻ることだった。憲法の理念を現実に生かすことが、政治が果たすべき役割だ。
2.憲法9条改定についての賛否変えるべきではない(B)変えるべきではない(B)
理由記述なし憲法9条は憲法の平和主義の核心だ。9条は絶対に戦争しないことを求めており、凄惨な沖縄戦を経験した県民の「命どぅ宝」の強い思いと通じる。9条を生かした徹底的な外交努力で、東アジア地域に平和の枠組みをつくることが、いまこそ求められている。
3.自衛隊の位置付けについての考え方現状維持(B)憲法違反なので廃止(C)
4.緊急事態条項創設への賛否無回答反対
理由※必須今後の議論を注視するなかで判断する 。「緊急事態条項」は、国会の権能を奪って内閣に権限を集中し、地方自治体を国に従属させ、国民の基本的人権を制限する憲法停止条項だ。国会議員任期延長の議論は、国民の選挙権行使の機会を奪い、権力の濫用と恣意的な延命を招くもので、認められない。
5.改正地方自治法が成立・施行されたことへの評価無回答評価しない(B)
理由※必須どちらとも言えない。国民の生命などを守るため、個別法で想定されていない事態が生じた場合に国と地方の間の責任の所在が不明確になるという事態も想定し、対応方策が必要になる。 政府が「国民の安全に重大な影響」又はそのおそれがあると判断すれば、閣議決定だけで自治体に指示し、従わせることができる。国と地方の関係を「対等・平等」から「上下・主従」に変えるものだ。沖縄での強権的なやり方を全国に広げるもので、認められない。
6.死刑制度存続への賛否その他:引き続き検討が必要。(E)法改正して明確に廃止すべきだ(B)
7.前回選挙後3年間の岸田政権への評価評価する(A)評価しない(B)
理由記述なし民意を一顧だにせず、玉城知事の権限を奪い、民主主義も地方自治も踏みにじって辺野古新基地建設を強行した。軍事費の倍増、敵基地攻撃能力の保有に舵を切り、沖縄の軍事要塞化を進めたことは許されない。経済無策、沖縄関係予算の減額で県民生活を苦しめた。
8.玉城デニー県政への評価評価しない(B)評価する(A)
理由記述なし県民の思いに応え辺野古新基地建設反対の先頭に立ち、太平洋島しょ国や海外都市との信頼醸成を図る取り組みを実践している。子どもの医療費無料化や給食費無償化の推進、性的マイノリティーの当事者が生きやすい社会を目指す「美ら島にじいろ宣言」も重要だ。
9.旧統一教会問題への受け止めや、今後の対策社会的な問題、トラブルを抱えている団体と政治の関係の問題と捉えている。一般論として社会的な問題やトラブルを抱える団体との関わりは、慎重であるべきで、控えるべき。団体から被害を受けた方々へは、救済に向けた相談支援体制の拡充を進めている。 自民党が反社会的・反国民的カルト集団である統一協会と癒着して政策を進めようとしてきたことは民主主義に関わる重大問題だ。安倍元首相が協会幹部と面談し選挙への支援を確認していたことも報じられている。真相解明に背を向け幕引きすることは許されない。
10.調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の今後のあり方について早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務付ける(B)早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務づける(B)
11.政治と金の問題を受け、政治資金の透明化にむけての対応改正後の政治資金規正法を適切に運用すると共に、第三者機関の制度設計に伴うさらなる法改正を行うべき。併せて、政策活動費の廃止も目指すべきだと考えている。 自民党の裏金の原資となった企業・団体による政治資金パーティー券購入は、形を変えた企業・団体献金だ。企業献金は本質的な賄賂性を持つ。全面禁止すべき。国民の「政党支持の自由」に反する政党助成金は廃止し、政党は政治資金を国民に依拠して集めるべき。
12.国会議員の世襲についてその他(E)その他:
選挙制度を抜本的に見直すべきだ(E)
理由優秀かつふさわしい人材を選出するために必要な環境整備について議論が必要。世襲によって選挙区や政治資金を受け継いでいくことは、他に立候補を考えている者の「選挙に出る自由」に影響を与えかねない問題がある。世襲は、とりわけ小選挙区制度がもたらす弊害だ。比例代表を中心とした選挙制度に改めるべきだ。