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【記者解説】自民vsオール沖縄「痛み分け」 投票行動が複雑化、無党派の取り込み課題<衆院選2024沖縄>


【記者解説】自民vsオール沖縄「痛み分け」 投票行動が複雑化、無党派の取り込み課題<衆院選2024沖縄> 沖縄(空撮・資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 裏金問題や旧統一教会との関わりなど、政権与党の自民に全国で強い逆風が吹いた衆院選だが、県内では自民2勝、「オール沖縄」勢力2勝となり、前回2021年と勝敗数は同じだった。双方共に「勝ちきれなかった」結果と言える。

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設阻止を共通目標として政治勢力が結集するオール沖縄だが、新基地の設計変更申請を巡る代執行訴訟で県が敗れ、国が大浦湾側の埋め立てに着手したことや県が次の有効な手段を示せていないことなどから、求心力の低下も指摘された。

 候補者も、経済政策や物価高対策などに力点を置いて訴える場面が目立った。裏金問題による自民への反発で受け皿となった一方で、経済政策などでは野党各党の間でも異なる部分があり、辺野古が後景に退いてしまえば存在意義は薄れる。

 6月の県議選で大勝した自民は、勢いを保ったまま企業・経済界を中心に支持を固め、国政でも勝利を目指したが引き分けた。特にオール沖縄の象徴的な議席で、3連敗中だった1区を取り返せなかった意味は大きい。県内4選挙区の候補者は裏金問題とは関係ないとはいえ、自民全体への反発感は大きかったとみられ、無党派層の取り込みには課題を残した。

 今回の選挙では、自民・公明とオール沖縄という従来の構図に、維新やれいわ、参政の候補者が加わったことで有権者の投票行動が複雑化した側面がある。各党は今後、民意をいかに吸い上げて政策に反映していくか、これまで以上にきめ細やかな有権者との対話が必要となる。 

(沖田有吾)