琉球新報が28日に開いた衆院選当選者座談会には、県内4選挙区と比例代表九州ブロック当選者9人のうち、前職7人、新人1人の計8人が出席した。与党過半数割れとなった選挙結果の受け止めや、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題について議論を交わしたほか、今後の国会活動への抱負・意気込みなど、多岐にわたるテーマについて意見を出し合った。 (敬称略、’24衆院選取材班)
政治とカネ強い批判 新垣氏
超短期決戦の影響大 島尻氏
―結果の受け止めと投票率について。
赤嶺 与党過半割れで横暴な政治はできない。国策の犠牲になっている沖縄の問題をいかに前に進めるかが大事。投票率低下は自民による超短期決戦が最大要因だ。
新垣 「政治とカネ」問題へ強い批判があった。投票率について、投票しても変わらないという諦めもあるのではないか。これはわれわれ政治家の責任もある。
島尻 「政治とカネ」の影響は否めない。全国的に不信感という逆風の中での選挙だった。投票率低下についても、超短期決戦ということの影響は否めない。
国場 厳しい逆風だった。謙虚に受け止めたい。有権者が冷めていると感じた。いい加減にしろ、どうせ変わらんというのもあると思う。熱気のない選挙だった。
宮崎 政治とカネへの有権者の批判が非常に強かった。(石破首相の)これまでの発言と今回の判断の矛盾も背景にある。関心を持てる争点設定にならなかった。
屋良 与党過半数割れで今後、国会は激動の時期を迎える。政権交代に進んでいくきっかけとなった。選挙を盛り上げるには公開で政策論争する議論の場が必要だ。
山川 れいわは全国的に議席が3倍増と一定評価が得られた。投票率向上は、SNSでの投票などさまざまな観点から進めていかなければ難しいと感じている。
金城 公明党にとって非常に厳しい結果だ。党首落選という衝撃の結果だった。国民に政策や実績をもっと訴えることができれば結果も変わったかと感じている。
政権評価段階でない 屋良氏
―石破政権、玉城県政の評価は。
新垣 石破政権はまだ評価する段階ではないが、総裁選で言っていたことを言わなくなって大丈夫かと思っている。玉城県政は県民の声を聞き、寄り添っている。
島尻 石破政権は誕生して間もない。この選挙では過半数割れで評価には至らない。玉城県政は、県議会でもさまざまな指摘をされている。心もとないという評価だ。
国場 石破政権の経済政策については岸田政権を引き継いでおり、応援したい。玉城県政については県議選の結果が示している。評価されていないということだ。
宮崎 石破政権には、これから暮らしをよくする政策を打ち出してもらいたい。玉城県政は、県議会の論戦で執行部側としてより丁寧に説明をすべきだ。
屋良 石破政権はまだ評価する段階にない。玉城県政は子どもの貧困対策などしっかりと取り組んでいる。近隣諸国との平和外交も続けることに意義がある。
山川 石破政権は裏金の件も反省しておらず国民をばかにしている。玉城県政は「誰一人取り残さない社会」の意味をどう考えているのか、話し合いたい。
金城 石破政権は所信表明でも沖縄の戦争や経済にも触れており、期待が持てる。玉城県政には主義主張を押しつけるだけではない本当の対話をしてほしい。
赤嶺 石破政権は発足1カ月も満たずに支持率が政権末期の状態だ。平成の「琉球処分」で県民分断を招いた。玉城県政は対話外交で平和をつくっており高く評価する。
当選者座談会出席者
【沖縄選挙区】
1区・赤嶺政賢氏(76)=共産前職、2区・新垣邦男氏(68)=社民前職、3区・島尻安伊子氏(59)=自民前職
※4区の西銘恒三郎氏(70)=自民前職=は日程調整がつかず欠席
【比例代表九州】
国場幸之助氏(51)=自民前職、宮崎政久氏(59)=自民前職、屋良朝博氏(62)=立民前職、山川仁氏(50)=れいわ新人、金城泰邦氏(55)=公明前職
司会 滝本匠琉球新報社統合編集局長