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「走る広告塔」の図柄入りナンバープレート ご当地キャラ、花木…デザイン多彩 「首里城」目標の3倍交付<沖縄DEEP探る>


「走る広告塔」の図柄入りナンバープレート ご当地キャラ、花木…デザイン多彩 「首里城」目標の3倍交付<沖縄DEEP探る> 首里城の図柄入りナンバープレートが装着された車両=10月23日、那覇市の首里城公園(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 與那原 采󠄀恵

 地元愛はここにも―。首里城がデザインされた車両用ナンバープレートや、南城市や沖縄市など10市町村が交付するバイク用ナンバープレートが人気を集めている。車両登録地でしか入手できない、“ご当地ナンバープレート”に込められた思いなどを探った。

 沖縄県は、2026年秋の首里城正殿復元に向けた取り組みの一環として、沖縄を象徴する首里城やシーサー、那覇市の花であるブーゲンビリアのイラストが描かれた「首里城図柄入りナンバープレート」の交付を10月23日から開始した。県首里城復興課は24年3月末までに千枚の交付を目標にしていたが、開始から1カ月後の11月24日時点で交付確定予約件数は3121件と目標枚数を既に2千枚以上も上回っている。

 同課担当者は、首里城ナンバープレートについて「デザインの選出段階などから県民と一緒になって盛り上げてきたものだ。思った以上に早く3千枚に達した」と話し、反響の大きさを喜ぶ。沖縄ナンバーの車両しか取得することのできない首里城ナンバープレートの人気はこれからも続きそうだ。

■地域で寄付金活用

 国土交通省のホームページによると、図柄入りナンバープレートは「走る広告塔」として注目され、車には17年から交付が開始された。確かに街中で2020東京オリンピック・パラリンピック仕様のプレートや、「日本を元気に!」「立ち上がれ!美しい日本」をテーマに47都道府県の花をモチーフとした図柄が描かれたプレートを見かけることがある。県内では「首里城プレート」がこれから人目を引きそうだ。

 県のナンバープレート交付料金はトラックなどの大型車両が1万2800円、普通乗用車や軽自動車などは8400円。通常はモノトーン版だが、交付の際に千円以上の寄付を行うとカラー版が選択できるようになる。寄付金は各種大会の開催や地域の交通改善、観光振興に活用される。首里城ナンバープレートの場合は首里城復興に関する事業や、首里城周辺の交通問題改善、観光振興に関する助成事業などに活用される予定だ。

■バイクにも

 実はオリジナルナンバープレートは自動車だけではなく、排気量125cc以下の原付きバイクにも交付されている。その始まりは千葉県成田市で、地域のPRを目的として06年に他地域に先駆けて導入した。県内では12年に南城市が初めて導入し、現在は南城市のほか沖縄市、西原町、南風原町、宜野座村、石垣市、北谷町、与那原町、浦添市、那覇市の10市町村がオリジナルナンバープレートを導入している。南風原町、浦添市、那覇市は予定交付枚数に到達し既に交付を終了しているが、ほかでは交付を継続中。南風原町は、町のイメージキャラクター「はえるん」などが描かれたプレートを13年度から本年度の初めまでに約3700枚交付した。同町にある南風原中郵便局では、交付開始当初から配達用原付きバイクにオリジナルナンバープレートを取り付けるなど、町全体で地域のPRに取り組んでいる。

 プレートのデザインは市町村ごとに異なり、ご当地キャラや、市町村の花木、地元の名物などを取り入れている。

■住民からは…

 南城市は市のキャラクター「なんじぃ」と市の特徴であるハートの地形などを組み合わせたデザインのプレートを採用している。同市の担当者は「性別問わず(オリジナルナンバープレートを)選んでいる印象だ。かわいいという声が多い」と話した。一方で、市のエイサーマスコットキャラクター「エイ坊」が描かれたプレートを発行する沖縄市の担当者は「女性や年配の方からの人気は高いが、若い世代の男性は通常のプレートを選ぶ傾向が多い」と話した。

 地域の振興やPR、地元に愛着をもってもらうことなどを目的に始まったご当地ナンバープレート。そのデザインには住民からさまざまな意見がある。今後発行する場合は、幅広い層に受け入れられるためにも多様なニーズに合わせたデザインを検討することが重要になりそうだ。

 (與那原采恵)