イモは沖縄の恩人 飢餓を救った歴史紹介 郷土史研究家の伊波さん講演 沖縄市


イモは沖縄の恩人 飢餓を救った歴史紹介 郷土史研究家の伊波さん講演 沖縄市 「イモの恩恵を忘れてはいけない」と語る伊波勝雄さん=1月6日、沖縄市越来公民館
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【沖縄】沖縄市のうちなーぐち会(源河朝盛会長)は1月6日、市越来公民館で郷土史研究家の伊波勝雄さん(85)を招き、「甘藷(いも)と野國總管」の講演会を開いた。その中でイモが琉球・沖縄の恒常的な飢餓を救った「命の恩人」であることを再評価する重要性を強調した。

 伊波さんは元小・中学校長、元嘉手納町教育長。在職時から、1605年にイモの栽培法を中国から持ち帰り「甘藷の父」「いも大王(ウス―)」とたたえられてきた地元出身の野國總管の功績、人物像などを研究し書籍を発行している。

 講演会には60人余が参加。伊波さんはうちなーぐちや軽妙なパフォーマンスを交えながら、野國總管の指導による栽培の反響を知り栽培法を県内に広めた産業振興の偉人・儀間真常との関係や時代背景などを解説した。特に大飢饉(だいききん)のあった徳川幕府との関わり、琉球から鹿児島を経由し全国各地で栽培を普及した人物の業績碑を訪れたことに触れ、「イモは当時から戦中、戦後まで日本の食料難を救った。イモの恩恵を忘れてはならない」と述べ、県内養豚産業にも大きく寄与したと指摘した。
 課題としては病害虫の研究・対策の遅れを挙げた。

 イモ耕作の再興に情熱を傾ける伊波さんに参加者から「深い歴史があることを知った」「栽培研究の学徒が出てくることを期待したい」との感想があった。
 (岸本健通信員)