【宮古島】ハンセン病回復者の生活支援事業などを担ってきた県ゆうな協会が、宮古島市の県宮古合同庁舎1階にゆうな相談センター宮古を開所した14日、当事者や支援に取り組んできた関係者は「離島の回復者の支援に向けてやっと動いた」と評価した。一方で「根深い差別は(いまだに)ある」「週2回の相談で支援は十分なのか」など不安視する声が回復者から聞こえた。
長年、県内離島の支援拠点設置を訴えてきた、ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古の亀濱玲子共同代表は「偏見・差別を恐れて隠れて過ごしている人たちは、病院や行政の窓口で『ハンセン病』という言葉を言えず、受けられるはずの医療や支援が届かないケースが今でもある」と話し、ソーシャルワーカーや生活支援員の動向や訪問の必要性を強調した。
国立療養所宮古南静園(宮古島市)を退所した男性(89)は「(現在は)週2回だが、毎日相談できるようになればいいかなと思っている」と話す。1人暮らしの男性は、病気にかかった際、自分で病院に行くことができず、そのたびに宮古南静園に再入所することが頭をよぎるという。「(回復者の)みんなは1人暮らしが多い。運転免許の返納の時期にも来ているので、そのへんも相談したい」と語った。
開所式にリモートで参加した回復者の知念正勝さんは「退所者や入所者、その家族のほとんどが偏見や差別を恐れ、ハンセン病のことを隠し続けている。根深い差別があるからこそだ」と話し、国策の影響をいまだに受けている現状を説明した。「私たちの生活支援の充実なくして安心の暮らしは実現しない。厚労省、県、自治体、各地域が力を合わせていただくことを求める」と話した。 (友寄開)