農地を重機置き場に 宮古島市議が違法転用 農業委が原状回復求めた後も面積拡大 沖縄


農地を重機置き場に 宮古島市議が違法転用 農業委が原状回復求めた後も面積拡大 沖縄 農地を違法転用している広栄開発の敷地=13日、宮古島市平良久松
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 【宮古島】沖縄県宮古島市平良久松の農地を広栄開発が約8年にわたって違法転用し、重機を置くヤードとして使用している。市農業委員会は2月21日、市役所で総会を開き、広栄開発の当事者として粟国恒広市議から事情を聞いた。粟国市議は当事者であることや違反転用を認めた上で、別の土地を購入したものの最終処分場跡地のためヤードとして使えず、違法転用が続いていると説明した。農業委の関係者からは「理由になっていない」「他の土地を探すべきだ」「島の人なら最終処分場跡地だったことはみんな知っている。なぜ聞かなかったのか」などの声が上がった。

 市農業委や粟国市議によると、2016年に農業委が違反転用を確認した。粟国市議は経営していた会社「大広重建」の重機を置く場所に困っており、親族の男性に相談し、男性が所有する久松の農地に一時的に置いたという。粟国市議はヤードにするための土地を伊良部島で購入したが、最終処分場跡地でヤードにできないことが判明した。同社は解散し、広栄開発がその後、久松の農地をヤードとして使用している。

 久松の農地はコンクリートで舗装するなど違法転用されており、面積は市農業委が原状回復を求めた後も広がっている。16年で違法転用状態の農地は約2千平方メートルだったが、現在は約6千平方メートルに拡大した。

 市農業委は、久松の農地が農振法に違反した状態であることを問題視し、今後も原状回復を求めていくとした。関係者は「原状回復を求めた後も違法転用の農地を広げている。悪質だ」などと会社の対応を非難した。

 総会では、農業委のメンバーから「自分の土地だからという理由で自由にしていたら、宮古島市の農地を守れなくなる」「なぜ他の場所に土地を探そうとしないのか」などと意見が出た。粟国市議は「違法転用せざるを得なかった。事情を理解していただき、農地転用を認めてほしい」と訴えた。

 琉球新報の取材に、粟国市議は「故意にはやっていない。これまで県や市が真剣に話し合いに応じなかった結果、問題が長引いた」などと主張。13日までに調停申立書を平良簡易裁判所に提出したとして「われわれの生活する権利、生きる権利を訴えて司法の判断に委ねたい」と語った。

(友寄開)