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「農地」なのにコンクリ舗装など違反転用 宮古島市は刑事告発や代執行も視野 関与の市議「開き直り」も 沖縄<ニュースのつぼ>


「農地」なのにコンクリ舗装など違反転用 宮古島市は刑事告発や代執行も視野 関与の市議「開き直り」も 沖縄<ニュースのつぼ> 広栄開発が違反転用している農地。敷地内にはさまざまな建造物が建ち並び、重機などが置かれている=28日、宮古島市平良久松
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 宮古島市平良久松の農地を広栄開発が約8年にわたって違反転用し、重機を置くヤードとして使用している問題で、宮古島市議会3月定例会は、自身の会社の事業を広栄開発に引き継いだ粟国恒広市議に対する辞職勧告決議を27日に賛成多数で可決した。市や市農業委員会が農地法や農振法に基づき原状回復を求める勧告を出し、刑事告発や行政代執行も視野に対応を検討するなど、違反転用の解消に向けた強い姿勢がうかがえる。このほか、2市議による一般質問で違反転用の経緯や事実確認があった。

 定例会での市や市農業委の説明によると2016年に違反転用を確認した。当初、約2千平方メートルだった。県や市などは原状回復を求めて再三指導してきたが、コンクリートで舗装するなどの違反転用は拡大しており、現在では約6千平方メートルとなっている。農業委が航空写真などを確認すると、2007年ごろから違反転用された形跡があるという。

■複数の違反

 粟国氏は「解決に向けて県や市と話し合おうとしてきたが対応してもらえず、問題が長引いた」と主張してきた。質問した長崎富夫市議が入手した資料によると、関係者からの事情聴取などの対応が12回、文書による指導通知などの対応が17回だったという。長崎氏は「(県や市、農業委は)しっかりと対応してきたと思う」と話し、粟国市議の主張を問題視した。

議員辞職勧告の決議後、記者会見で議員辞職を否定する粟国恒広市議=27日、宮古島市役所

 同土地の一部は市農業振興整備計画の優良農地とする「農用地区域」に指定されていることから、違反転用した際には農地法と農振法違反となる。建築物や特定工作物を伴う3千平方メートル以上の開発を行う際に都市計画法に基づく県知事からの許可が必要になるが、それを得ていないことも明らかになった。加えて、建築基準法の建築確認済書の交付も受けていないことも分かった。

■主張の変容

 25日、山下誠市議の一般質問の中で、粟国氏がこれまで主張や説明を変容させながら、農地の違反転用を拡充していった経緯が明らかになった。

 違反転用が確認された16年、県が粟国氏へ指導通知を出したところ、粟国氏は農業委に対して「重機を置く場所を探している。見つかれば段階的に機械を移し、徐々に農地に復元していきたい」と説明したという。

 その後、同土地の東側にハウスを設置し、トマトやなす、ウコンを栽培し、加工場を作るとして、農地として使用すると復元計画書で主張。しかし、ハウスが撤去される19年ごろまでに実績は確認されていない。

 粟国氏は14年、市伊良部にある最終処分場跡地を購入した。その後、跡地に重機を移転すると主張してきた。

 県の調査などを経て、23年4月には同跡地は使用できる状態になっているにもかかわらず、現在までに重機は移転されていない。

 取材に対し、粟国氏は「重機を置いている場所をあそこまで整備してきた。今更、伊良部には移転できない」「伊良部の土地が使用できるまでの期間が長すぎる。行政の対応が遅すぎる」などと違反転用を拡充した理由を語った。

■開き直り

 一般質問で登壇した粟国氏は、違反転用問題に言及し「原状回復できない」と発言し、特例として農地転用を認めるよう訴えた。違反行為に対する開き直りとも見られる発言に、他の議員からは抗議の声が上がり、議場は一時騒然とした。

 賛成19人、反対2人の賛成多数で可決された辞職勧告決議文には「公人である市議会議員が特例を主張するなど言語道断」「(粟国市議の)一連の言動は、市議会はおろか、法を順守する全ての市民への裏切り行為である」と粟国氏の姿勢を痛烈に批判した。

 (友寄開)