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自費出版の「首里くとぅば手引書」書店でも 問い合わせ殺到で増刷 沖縄


自費出版の「首里くとぅば手引書」書店でも 問い合わせ殺到で増刷 沖縄 「首里くとぅば 手引書」の書店販売を喜ぶ古波蔵保隆さん(右)、琉球プロジェクトの仲村渠理代表(中央)、ジュンク堂書店那覇店の森本浩平エグゼクティブ・プロデューサー =3月21日、那覇市牧志のジュンク堂書店那覇店
この記事を書いた人 Avatar photo 座波 幸代

那覇市首里金城町の古波蔵保隆さん(84)が生まれ育った首里の言葉をまとめ、自費出版した本「首里くとぅば 手引書」3月中旬から、県内主要書店で販売されている。古波蔵さんが市内の学校への寄贈用に自費出版した取り組みを琉球新報が昨年10月23日付の記事で紹介したところ、「読みたい」「どこで買えるのか」など問い合わせが殺到。本を通して首里の言葉や文化、首里城復興への思いがつながればと、第2刷として販売用に200部を発行した。

価格は3500円(税別)で収益の全額を県の首里城未来基金に寄付する。

 小学校教員を定年退職後、子や孫の世代にうちなーぐちを継承していきたいと、10年以上かけて「手引書」を執筆した古波蔵さん。五十音順に単語をまとめ、ゆしぐとぅ(寄せ言、金言)などを盛り込んだ本の内容や、思いを紹介する記事が掲載されると、古波蔵さん宅は朝から激励や問い合わせの電話が鳴りやまず「予想だにしない人生初めての体験」となった。

昨年末までに50件余の問い合わせがあり、琉球新報にも「販売はしていないのか」「どこで読めるのか」など数十件の問い合わせがあった。

今回、出版プロデュースや書店取次を行う琉球プロジェクトの仲村渠理代表との出会いを機に、増刷とジュンク堂書店那覇店などでの販売が決まった。

古波蔵さんは69歳から琉球新報の「声」欄への投稿を始め、掲載の際にもらう図書券を使ってジュンク堂で琉球の歴史や文化の本を買って学びを深め、執筆につながった。

「80歳を超えてまさか人生でこういう事が起きるとはびっくりだ。楽しみに通った書店で自分の本を取り扱ってもらえ、夢のよう。人生が大きく変わった」と話す。今後も首里言葉の継承をライフワークにしていくつもりだ。

ジュンク堂書店那覇店の森本浩平エグゼクティブ・プロデューサーは「昨年の記事掲載後、店舗にも本を置いてないか問い合わせがあった。素晴らしい本を多くの人に届けたい」と語った。発売元となった琉球プロジェクトの仲村渠代表は「うちなーぐち、しまくとぅばへの関心は高く、人気のジャンル。古波蔵さんの思いが伝わる本に携われてうれしい」と話した。

(座波幸代)