トルコキキョウに夢中
若手花き農家の畑へ
八重瀬町東風平にある花き農家「セカビファーム」。トルコキキョウを中心に、花づくりをするのは代表の金城健太さんと妻の友理恵さんだ。「おきなわ花と食のフェスティバル2023」では、トルコキキョウの部門で金賞にあたる「九州花き卸売市場連合会長賞」と続く銀賞、銅賞も受賞している。花が咲き誇る畑の様子と、家族で行う仕事の様子をリポートする。
セカビファームで栽培されるトルコキキョウは約30種類。今期は2月から出荷が始まっている。
ピンクやグリーンのやわらかな色味、贈る人を選ばず人気なのはホワイト、存在感のあるブルー、ベージュやショコラなどの”くすみカラー“は上品な雰囲気だ。品種ごとに花の大きさ、花びらの重なり方、フリンジ(花びらの細かな刻み)に特徴があり、違いも愛らしい。栽培しているビニールハウスでは、一輪ずつ眺めていても飽きがこない。
「今年の花は大きいです。昨年使っていた出荷用のスリーブ(袋)に収まらなくて、大きいサイズを用意したんですよ」
代表の金城健太さんが、うれしそうに出来栄えを伝えてくれた。出荷先は県外の市場(主に関東、関西向け)。母の日前後は、一日に1200本を出荷している。
花き農家の道へ
2019年に就農した健太さん。家は3代続く花き農家で、父の政則さんも現役でトルコキキョウを育てている。健太さんは関東のフラワーショップなどで経験を積んだ後に、生産者となることを選んだそうだ。千葉県出身の妻・友理恵さんもその道をサポートすることを決意。結婚後に沖縄へ引っ越してきた。
2020年に誕生した長女・弥花(みはな)ちゃんは生後2カ月で「畑デビュー」している。農家の道を選んだからこそできた、健太さんと友理恵さんの楽しい思い出だ。
この時期一番大変なのは出荷作業。週に3回、市場の定める「切花出荷規格」に合わせ花を選別するが、見極めが難しいそうだ。就農したばかりの頃は一晩中かかることもあったとか。
現在も出荷日には、朝から晩まで畑の出荷場にいるという健太さんだが「自分はこの時間好きなんですよね」とほほ笑む。一輪一輪を確かめながら、次回の栽培方法を考えていると教えてくれた。
良い花を手にとって
6月ごろまで出荷されるトルコキキョウ。店頭で選ぶ際のポイントはなんだろう。
「茎の太さ、花の大きさを確かめてみてください。良い花は茎ががっちりしていて倒れにくい。新鮮なキャベツみたいに、シャキッとした質感のものもおすすめです」
友理恵さんが教えてくれた。セカビファームでは茎や葉を大きく育てることに気を使い、土づくりからこだわってる。ぜひ、大きくて立派な花を手にとってほしい。
セカビファームでは「NF」や「サセトルコ」と呼ばれる、国産の優良品種の栽培にも注力している。トルコキキョウの中でも一味違う魅力を持った品種たち。現在はまだ少量だが、県内で流通する日も近いかもしれない。
「イベントなどにも参加して、花の価値を高めていきたいです」
健太さんが穏やかに展望を話してくれた。担い手が減少している農業全体が活性化してほしい、そんな思いも持っている。トルコキキョウはちょっとした贈り物や、自分へのごほうびにもぴったり。季節の花で、暮らしに潤いを与えてみてはいかがだろう。
(津波典泰)
セカビファームInstagram:@sekabifarm
(2024年5月2日付 週刊レキオ掲載)