咲かせています。ふんわりトルコキキョウ セカビファーム 金城健太さん 友理恵さん


咲かせています。ふんわりトルコキキョウ セカビファーム 金城健太さん 友理恵さん 県内で栽培されるトルコキキョウが出荷の最盛期を迎えている。八重瀬町東風平にあるセカビファームも生産者の一つ。ビニールハウスを訪れると、色とりどりの花に囲まれながら金城健太さん、友理恵さん夫妻が笑顔で迎えてくれた。2019 年に新規就農した健太さん。今期はトルコキキョウだけで約30品種を栽培している 写真・norico
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トルコキキョウに夢中
若手花き農家の畑へ

八重瀬町東風平にある花き農家「セカビファーム」。トルコキキョウを中心に、花づくりをするのは代表の金城健太さんと妻の友理恵さんだ。「おきなわ花と食のフェスティバル2023」では、トルコキキョウの部門で金賞にあたる「九州花き卸売市場連合会長賞」と続く銀賞、銅賞も受賞している。花が咲き誇る畑の様子と、家族で行う仕事の様子をリポートする。

セカビファームで栽培されるトルコキキョウは約30種類。今期は2月から出荷が始まっている。

ピンクやグリーンのやわらかな色味、贈る人を選ばず人気なのはホワイト、存在感のあるブルー、ベージュやショコラなどの”くすみカラー“は上品な雰囲気だ。品種ごとに花の大きさ、花びらの重なり方、フリンジ(花びらの細かな刻み)に特徴があり、違いも愛らしい。栽培しているビニールハウスでは、一輪ずつ眺めていても飽きがこない。

セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「ボヤージュブルー」
セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「ボヤージュブルー」

「今年の花は大きいです。昨年使っていた出荷用のスリーブ(袋)に収まらなくて、大きいサイズを用意したんですよ」

代表の金城健太さんが、うれしそうに出来栄えを伝えてくれた。出荷先は県外の市場(主に関東、関西向け)。母の日前後は、一日に1200本を出荷している。

花き農家の道へ

2019年に就農した健太さん。家は3代続く花き農家で、父の政則さんも現役でトルコキキョウを育てている。健太さんは関東のフラワーショップなどで経験を積んだ後に、生産者となることを選んだそうだ。千葉県出身の妻・友理恵さんもその道をサポートすることを決意。結婚後に沖縄へ引っ越してきた。

金城健太さんの父・政則さんはベテラン花き農家。健太さんとは隣接してビニールハウスを構え、意見交換や、アドバイスし合う仕事仲間だ。「トルコキキョウは母の日のプレゼントにも選ばれてるからね。この時期は大忙しだよ」と笑う
金城健太さんの父・政則さんはベテラン花き農家。健太さんとは隣接してビニールハウスを構え、意見交換や、アドバイスし合う仕事仲間だ。「トルコキキョウは母の日のプレゼントにも選ばれてるからね。この時期は大忙しだよ」と笑う

2020年に誕生した長女・弥花(みはな)ちゃんは生後2カ月で「畑デビュー」している。農家の道を選んだからこそできた、健太さんと友理恵さんの楽しい思い出だ。

この時期一番大変なのは出荷作業。週に3回、市場の定める「切花出荷規格」に合わせ花を選別するが、見極めが難しいそうだ。就農したばかりの頃は一晩中かかることもあったとか。

現在も出荷日には、朝から晩まで畑の出荷場にいるという健太さんだが「自分はこの時間好きなんですよね」とほほ笑む。一輪一輪を確かめながら、次回の栽培方法を考えていると教えてくれた。

セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「アンバーダブルグリーンアップル」
セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「アンバーダブルグリーンアップル」

良い花を手にとって

6月ごろまで出荷されるトルコキキョウ。店頭で選ぶ際のポイントはなんだろう。

「茎の太さ、花の大きさを確かめてみてください。良い花は茎ががっちりしていて倒れにくい。新鮮なキャベツみたいに、シャキッとした質感のものもおすすめです」

セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「NFフリンジマンゴー」
セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「NFフリンジマンゴー」
セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「ボヤージュチャームピンク」
セカビファームで栽培されるトルコキキョウ「ボヤージュチャームピンク」

友理恵さんが教えてくれた。セカビファームでは茎や葉を大きく育てることに気を使い、土づくりからこだわってる。ぜひ、大きくて立派な花を手にとってほしい。

セカビファームでは「NF」や「サセトルコ」と呼ばれる、国産の優良品種の栽培にも注力している。トルコキキョウの中でも一味違う魅力を持った品種たち。現在はまだ少量だが、県内で流通する日も近いかもしれない。

「イベントなどにも参加して、花の価値を高めていきたいです」

健太さんが穏やかに展望を話してくれた。担い手が減少している農業全体が活性化してほしい、そんな思いも持っている。トルコキキョウはちょっとした贈り物や、自分へのごほうびにもぴったり。季節の花で、暮らしに潤いを与えてみてはいかがだろう。

(津波典泰)


セカビファームInstagram:@sekabifarm

(2024年5月2日付 週刊レキオ掲載)