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戦争の悲惨と命の尊さ学ぶ 渡嘉敷小中校 平和ガイド・米田さん 学年ごとに3回講話


戦争の悲惨と命の尊さ学ぶ 渡嘉敷小中校 平和ガイド・米田さん 学年ごとに3回講話 米田英明さん(後列右)を講師に島の戦争の歴史などを学んだ渡嘉敷小学校3~6年生=12日、同校グループ学習室
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 【渡嘉敷】6月23日の慰霊の日を前に、渡嘉敷小中学校(嘉数雄信校長)は12日、渡嘉敷村在住で平和ガイドの米田英明さん(75)を講師に招き、恒例の平和学習を行った。日本や沖縄の戦争の歴史を通して、その恐ろしさや悲惨さを学び、生命の尊さと恒久平和を希求する心情を育てることが狙い。全児童生徒を対象に、小学校1~2年生、3~6年生、中学生の3回に分けて実施した。

 米田さんは低学年、高学年、中学生のそれぞれの学年に応じ、理解できる内容で講話を進めた。小学生向けには、琉球新報小中学生新聞「りゅうPON!」に掲載された、渡嘉敷村の戦争体験者の吉川嘉勝さんの「まんが 未来に伝える沖縄戦(島で散った命)」を読み聞かせし、戦前、戦中、戦後の島の様子を説明した。

 児童らは「戦争をなくすためには、世界の人がみんな仲良くなってほしい」「吉川さんの家族は『集団自決』の時、母が“命が宝(ぬちどぅたから)”と言って、現場からみんな逃げて助かったので良かった」などと述べた。與那嶺くるみさん(小6)は「島の戦争のことを語り継いでいきたい」と誓った。

 中学生には、日米がなぜ戦争したのか、沖縄戦が慶良間諸島から始まり、座間味村や渡嘉敷村で「集団自決」(強制集団死)がなぜ起きたのかについても説明した。「集団自決」の背景や要因、実相などを語り、体験者のほとんどが異口同音に「島の北山(にしやま)に集まれとの日本軍の命令を守り、軍から配られた手榴弾などで自決した」などと証言していることを紹介した。

 中村禮さん(中3)は「米田さんの母親が『集団自決』で奇跡的に助かって生き延び、5人の子に恵まれ43人の大家族になったことが印象的だった」と感想を述べた。