「心の傷、癒えない」 石川・宮森630会が教職員に講習会 米軍ジェット機墜落事故 沖縄


「心の傷、癒えない」  石川・宮森630会が教職員に講習会 米軍ジェット機墜落事故 沖縄 伊波洋正事務局長(左)の説明に耳を傾ける宮森小の教員ら=14日、うるま市石川出張所
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 宮森小学校米軍ジェット機墜落事故を語り継ぐ「石川・宮森630会」が14日、同小などで教職員15人を対象に講習会を開いた。19日に実施した宮森小での講演会に先立つ取り組み。久高政治会長(76)は「事故に遭った人は、6月が来ると不安になる人がいる。心の傷は癒えない」と、事故の深刻さを語った。

 うるま市役所石川庁舎に展示されている事故当時の写真や新聞資料を前に、久高会長は自身の体験を交えながら、事故の経緯を説明した。
 当時1年生だった伊波洋正事務局長(71)は、やけどで背中が変色した少年が担架で運び出されたり、その母親が荷車を押して走り出したりしていた様子など、詳細を記憶しているが、「祖母が迎えに来てくれた以降の記憶はない」と振り返った。

 写真や資料による説明の後、宮森小にある事故で亡くなった児童の氏名が刻まれた「仲良し地蔵」の前に集合した。今年、宮森小に赴任した比屋根直子教頭(53)は、刻銘された名前から父方の親族に犠牲者がいると初めて知った。比屋根さんは「父は事故のことを話したくなかったのだろう。つらい記憶ということが、写真を見ながら感じられた」と思いやった。その上で「においや声というのが、自分が体験するかのように迫ってきた。子どもたちも自分の思考を巡らせて、話を聞き、語り継いでほしい」と語った。(玉城文)