【八重瀬】旧暦8月15、16日に当たる9月17、18日、八重瀬町志多伯で開かれる「獅子(しーし)加那志13年忌豊年祭」の準備が進んでいる。区の守り神「獅子加那志」を使った獅子舞の練習が3日にスタートし、連夜、ベテランから若手に伝統の技が継承されている。棒術や芝居の稽古も区民総出で行われており、6年ぶりの豊年祭に向けて熱気が高まっている。
「もっと飛んで跳ねて」。3日夜、野呂殿内(どぅんち)に志多伯獅子舞棒術保存会会長の神谷政光さん(74)の声が響いた。獅子舞を今回担う若手7人が、1946年に作られ、大切に継承されてきた獅子加那志を身にまとって激しく舞う。19歳から50年余り獅子舞に携わってきた政光さんら年配者が、どらでリズムを刻みながら助言する。
志多伯の豊年祭は人の年忌法要の周忌(1年、3年、7年、13年、25年、33年)に行われ、普段は野呂殿内に祭られている獅子加那志が、豊年祭にのみ姿を現す。獅子舞は約300年の歴史があるとされ、スピード感ある激しい動きが特徴だ。
獅子は2人1組。この日は、後足役の膝上に前足役が立ち、地面にある「金の玉」を狙う見せ場や、転げ回る動き、後足役と前足役が瞬時に入れ替わる技などを繰り返し練習した。
政光さんの孫で、初めて豊年祭の獅子舞を担う神谷武之心さん(21)は、重さ約11キロある獅子加那志に「イベントで使う複製よりかなり重く、毛も多くて動きにくい」と汗を拭った。「大勢がつないできた伝統なので緊張するが、おじいたちに『上手』と言ってもらえるよう完璧にしたい」と意気込んだ。
政光さんは「80点あげられる出来。2週間みっちり練習し、勇ましさや躍動感をもっと出すといい」と語り、「次の豊年祭は12年後と間隔が空く。今回、若手にしっかり技を身に付けてもらって、伝統を下の世代につないでほしい」と願った。
17日は午後2時、18日は同4時から道ズネーと棒術があり、舞台は両日とも午後6時から志多伯馬場で行われる。
(岩切美穂)