9月29日に行われた、第19回昭和32年生敬老の日大闘牛大会。沖縄闘牛界の名将、佐久川政秀さんの追悼大会でもあり、佐久川さんの愛牛3頭が勝ち星を挙げ、天国の佐久川さんに勝利をささげた。この日の夕方、佐久川さんの古堅モータースの牛舎では、いつもの大会同様に会合が開かれていた。口々に語られたのは「おやじさん」と呼ばれた佐久川さんを慕うエピソードだ。
大会に出場する牛がいると、大会前には少し遠くの場所に車を止めて、忍び足で牛舎に向かっていたという佐久川さん。牛たちは車の音を知っていて、それが聞こえると起きてしまう。ギリギリまでリラックスしてほしいという思いが、佐久川さんに忍び足をさせたというほほえましくも、牛への愛があふれるエピソードだ。
また、佐久川さんは負け牛を復活させることでも有名だった。「牛の気持ちになればいい」と語っていたという。牛が何を欲しているのか、何が必要なのか。牛を理解しようとする貪欲さが、牛との深いコミュニケーションにつながっていた。「まだまだ牛の気持ちは分からないね」と、佐久川さんのまな弟子の言葉に“おやじさん”を慕う気持ちが溢れていた。
10月20日の読谷まつり闘牛大会、11月10日の秋の全島闘牛大会にも、この牛舎の牛たちが参戦する予定だ。佐久川さんの思いはこれからも受け継がれていく。
(FMよみたん・根本麻依子通信員)