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難病の娘をバギーに乗せゴール 東京から夫婦で参加【伊平屋ムーンライトマラソン30年目の思い1】 沖縄


難病の娘をバギーに乗せゴール 東京から夫婦で参加【伊平屋ムーンライトマラソン30年目の思い1】 沖縄 笑顔を見せる木暮康友さん=19日、伊平屋村
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 【伊平屋】19日に開催された第30回伊平屋ムーンライトマラソン(主催・同実行委員会、共催・琉球新報社)。月明かりの下、木暮康友さん(59)=東京都=と妻の沙織さん(46)、2歳半になる娘の和ちゃんは大会スタッフらの拍手に迎えられてゴールテープを切った。筋肉が衰えていく福山型先天性筋ジストロフィー症と診断されている和ちゃんを三輪バギーに乗せ、フルマラソンを5時間53分32秒で走り抜いた康友さん。「娘と走る夢がかなってうれしい」と話した。

 夫妻は走ることが好きで、これまで国内外の多くのマラソン大会に出場してきた。「子どもを授かったら、一緒に走ってみたい」。しかし、和ちゃんの病状から難しさを感じていたという。

 夢を諦めかけていた時、同大会を通して交流のあった名嘉律夫村長から「30回の節目だから出ないか」と連絡があり、すぐに参加を決めた。


家族で走る夢を叶えて笑顔を見せる木暮康友さん(右)と妻の沙織さん(左)、2歳半になる娘の和さん=19日、伊平屋村

 バギーに和ちゃんを乗せ、家族3人でスタートした。クマヤ洞窟の前では、娘と手を合わせて平和を祈った。約25キロ地点で沙織さんはリタイアしたが、康友さんと和ちゃんは走り続けた。最後の1キロ地点で和ちゃんが泣き始めたが励まし続けた。待っていた沙織さんと一緒に3人でゴールテープを切った。

 康友さんは「感謝の気持ちにあふれ、笑顔で走ることのできる大会だった」と語った。