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「怒ってはいけない」野球大会 イエローカード3枚で退場!伸び伸び、みんなハッピーに 沖縄


「怒ってはいけない」野球大会 イエローカード3枚で退場!伸び伸び、みんなハッピーに 沖縄 声援を受け勝負に挑む子どもたち
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 選手に3回怒った監督は退場―。そんなユニークな少年野球大会が19日、豊見城市で開かれた。その名も「怒ってはいけない野球大会」。

 選手、指導者、保護者が互いに幸福な状態を目指し、糸豊八青年会議所(金城祐司理事長)が企画した県内初の取り組みだ。糸満、豊見城、八重瀬の3市町の9チームが参加。子どもたちは積極的に声を掛け合い、笑みがこぼれる和やかな空気の中、真剣勝負でリーグ戦を展開した。

 部活動の行き過ぎた指導が全国的な問題になる中、少年野球の指導経験がある金城理事長らが「子どもが自主性を発揮し、伸び伸びとプレーできる環境を」と企画した。監督やコーチの言動に対し、子どもが「怒られた」と感じたり、試合を見守る主催者側が「怒った」と判断したりすると、イエローカードを専用箱に入れ、累積3枚で退場という独自ルールを設けた。

「怒らない」独自ルールの下で野球を楽しんだ大会参加者ら=19日、豊見城市の瀬長島野球場(糸豊八青年会議所提供)

 「やりにくいな。今日は監督みんな、黙ってるよね」と笑いつつ「面白い取り組み。楽しみにしていた」と語るのは根差部ベースナイン(豊見城)の金城敬監督(50)。普段はベンチからげきを飛ばすこともあるが、この日は「この言葉もアウトか?」と迷った末、発言が減った。平愛希キャプテン(12)は「監督が静か」と肩をすくめつつ、声掛けをしてチームを率いた。

 普段から「お前のせいで負けた」など、プレッシャーを与える指導はしないよう心掛けている金城監督。「ミスした理由などを考えさせることは必要。厳しさと愛情ある練習を通じて感謝や思いやり、最終的には楽しさも感じられる。みんながそういう思いになれば、罵声は減ると思う」と語った。

 同会議所によると、大会全体のイエローカードの数は子どもからを含む3枚。大声で「何だ今の動きは」と注意したケースなどがあったが、退場者はなかった。子どもたちの「楽しかった」の声を受け、継続開催も検討するという。 

(岩切美穂)